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青い光のくじらはぼくたち星屑が見る夢の化身

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箕面市障害者雇用制度と豊能障害者労働センターが朝日新聞に紹介されました。2011/6/27
松井しのぶさんプロフィール
松井しのぶさんとの出会い
松井しのぶとシュールレアリスム
松井しのぶと宮沢賢治
松井しのぶと宮沢賢治2
松井しのぶと阪神大震災の焚き火
松井しのぶと光のくじら
壁掛けカレンダーの切実な役割
映画「ストロベリーショートケイクス」
そして希望の一年がやってくる
カレンダーをいっしょに販売しませんか?
50部以上、特別協力会員価格でお届けします。障害者団体に限りません。
1984年、吉田たろうさんとの出会いからカレンダーの制作が実現しました。2003年に急死されるまでの20年間、協力してくださった吉田たろうさんに深く感謝しています。
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豊能障害者労働センター

松井しのぶのホームページ

カレンダー製作販売の舞台裏は実は火の車で、かつては全体で55000部だったのが、2010年現在は21000部まで減ってしまった。松井しのぶさんにイラストをお願いして新しいお客さんも増えたが、傾向は変らない。障害者のグループをとりまく状況の変化で、カレンダーを売ることで運営費をつくる切実さはなくなっているのだと思う。しかしながら、昔も今も障害者自身の手に乗るお金はほとんどない。イラストのすばらしさはもちろんだが、その収益を障害者の所得づくりに役立てることを知ってくださっている多くのひとびとの助けをお借りして、これからもいっしょうけんめい販売したい。

細谷 常彦

天の川を泳いで 会いにきたよ
一万光年の彼方から 
君に会うために やってきたよ
だからほら 泣かないで
いっしょにあそぼう 
                           (7、8月のことば・松井しのぶ)

 あいまいな「ひとらしき」ひとが、どこでもなく、どこでもあるような部屋の右端に後ろ向きに立っている。天井から床までの大きなカーテンを引くと、そこはもう部屋ではなく空の荒野か海の底か、それとも冥王星がはぐれてしまった宇宙なのか、どこまでも青い空間が広がっている。
 とつぜん、巨大な光のくじらがすがたを現わし、きらきらした星の泡を吹きながら横腹を白くのけぞらせる。
 松井しのぶさん作、2007年カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」の7月・8月のイラストは、とてもゆっくりした時間の流れの隙間にたち現れるメルヘンをつむいでいくのだった。

 カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」は1年を6枚のイラストで表現した壁掛けカレンダーで、この絵に限らず松井しのぶさんのイラストには、とてもありえないモチーフや設定でありながら、切実な希望やいとおしい夢、愛するひとたちを見つめるまなざしがある。
 1月2月。お花畑、花びらの中にそのひとはいて、「未来」という種をまいている。初春のつめたさの中で、あたたかい春に届けと…。
 3月4月。旅立ちと出会いの季節。いまはまだ朝もやにかくれていても、「未来」はすぐそばにいて、船出するぼくに手をふっている…。
 5月6月。雨のしずくがよりいっそう緑を深くする。雨の音は自然が歌うラブソング。静かなピアノ曲は、どこかで何度も聴いたなつかしいヒットナンバー…。
 7月8月。「ほら、またみつかった。何が? 永遠が。太陽とまじわる青い海だ。」(アルチュール・ランボー) ぼくたちの心までも青く染めて…。
 9月10月。夏の光をたくわえた稲穂が黄金色にたわむ。いのちの種を育てる実りの季節。秋はもしかすると、いのちたちのはじまりの季節なのかも知れない…。
 11月12月。1年でいちばんカレンダーを見る季節。1日1日がとてもたいせつに思う。1年のものがたりをゆっくりと煮込み、時のジャムをつくりましょう。
 いいことばかりじゃなかったけれど、いっしょうけんめいの1年だった。時がくれるクリスマスプレゼントは、だれひとりきずつくことがない平和を願う世界の祈り…。いつもの壁のいつもの場所に、新しいカレンダーをかける。来年、どんな夢みようかな。

 ぼくは壁掛けカレンダーが好きだ。時をきざむことも日々を重ねることも、携帯電話や手帳の中に閉じ込められて久しいが、ひとを愛する心や平和でありたいと願う心、助けてと叫ぶ肉声や荒唐無稽な夢、自分らしく生きようとする朝や暗闇を見つめる孤独な夜を、たかだか手のひらにかくれてしまう携帯電話やシステム手帳に閉じ込めることなどできない。
 壁掛けカレンダーは、つながろうとする心たちの秘密のとびらにもなる。壁掛けカレンダーをくぐりぬけて無数の心が迷路のようにつながり、この世界をこの地球をささえ、分けあって平和にくらしていることをぼくは夢見る。ひとは一生の間に、どれだけの時をどんな部屋ですごすのかわからないけれど、カレンダーのかかっていない部屋はとてもさびしく思う。

 ぼくにとって壁掛けカレンダーの魅力は、部屋に帰るといつも待っていてくれる律儀さと、カレンダーの日付をみつめながら、悲しかったことやうれしかったことをもう一度かみ締め、また生きていこうと小さな冒険心を掻き立ててくれることにある。新しい月が始まり、急いで次のページをめくる瞬間は、とくにそんなことを感じながら今日を生きようと思う。

 今年は冥王星が太陽系から切り離されたことが大きな話題となった。何億光年の青い荒野が広がる宇宙の中の、ちっちゃな地球という星で生きる人間がそんなことを決められるのかぼくにはわからない。けれども名前もつけられないおびただしい星屑たちがそれぞれに途方もない時のものがたりを持っているのだと思う。
 そして、ぼくたち人間もこの青い星の上で生まれ、有名であろうとなかろうと、金持ちであろうとなかろうと、障害があろうとなかろうと、たったひとつのいとおしいいのちを生きていることだけはまちがいない。

 荒唐無稽のように見える松井しのぶさんのイラストの青い光のくじらはきっと、幸せになりたい、愛しあいたいと願うぼくたち星屑が見る夢の化身なのではないだろうか。ひとはしあわせになるためにこそ生まれてきたのなら、ぼくの夢もまた何億光年の時をわたり、青い光のくじらに乗ってやってきたのだと信じたい。
 美術館や画廊に足を運ばなくても、1枚のイラストから湧き上がる豊かな世界を感じることができる壁掛けカレンダー「やさしいちきゅうものがたり」は、すでにたくさんのひとびとに支えられている。そのひとびとと松井しのぶさんに感謝しながら、よりたくさんのひとびとにこのカレンダーの魅力を知っていただきたい。

 そして、来るべき1年がだれにとってもそれぞれちがう特別な記念日で埋め尽くされることを願って、このカレンダーを壁にかけたいと思う。

2006年10月16日

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