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音楽は時と国境をこえて、愛を必要とする心に届く2
コジカナツルfeaturing多田誠司
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箕面市障害者雇用制度と豊能障害者労働センターが朝日新聞に紹介されました。2011/6/27
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1947年の手紙 2005年12月15日 細谷常彦 


 最近ぼくは、ほとんど音楽を聴かなくなっていた。1年も前にCDプレーヤーがこわれてしまい、そのままにしていたので友人からプレゼントされたCDももうしわけないが聴けないままだった。
 こんなことではいけないとこの秋にやっとCDプレーヤーを買い換え、また少しは音楽に親しむ時間をもてるようになったところだ。

 かつてぼくもまた生きるために音楽を必要とした時があった。ビートルズ、ボブ・ディラン、ジョン・コルトレーン、ジャックス、小室等、畠山みどり、三上寛……。
 1960年代から70年代に圧倒的なパワーでぼくの心に流れこんだ音楽は、いつまでたってもぼくの心を青く染める。
 そんなぼくが必ず行くライブがある。コジカナツル…。ピアノ・小島良喜、ベース・金澤英明、ドラムス・鶴谷智生の名前をとって「コジカナツル」と名づけたこの3人のライブに行くと、その場にいる幸運を誰に感謝すればよいのかと思う。
 井上陽水、浜田省吾、Char、稲葉浩志、日野皓正、今井美樹、布袋寅泰、南佳孝など、日本のトップアーティストのレコーディングやコンサート・ツアーに欠かせない3人が2002年に結成したこのユニットほど刺激的なものはない。
 彼らのライブを聴くために1年に2回、京都のライブハウス・RAGに行くのを楽しみにしている。

 11月22日、3枚目のCD「3」の発売記念ライブは、金澤英明とともに日野皓正クインテットのメンバーであるサックス奏者・多田誠司が参加した。
 ライブのたびに進化しつづけるコジカナツルにいつも驚かされてきたが、この日のライブは最高だった。
 実はぼくは多田誠司をまったく知らなかったが、思いっきりファンになってしまった。コジカナツルの音楽は3人で充分に満たされてしまうパワーと深い音楽性を持っているし、そこに加わるもうひとりはかなりのタフさを要求されると思うのだが、ゲストプレーヤーへの気配りなどありそうもない3人の挑発的な演奏をとことん楽しんでしまうこのひともまた、「タダモノ」ではなかった。
 4人が登場し、演奏が始まったとたん、ぼくたちはたちどころに彼らの音楽に感染し、あっという間にその場全体がスイングしはじめた。
 あまり音楽を聴かないぼくが言うのは不遜なことだが、ある瞬間、音楽が決定的な磁場をつくり、その場に立ち会った人間の心の中に深い感動を残し、生きる勇気さえもつくりだす、そんな音楽との出会いがたしかにある。
 彼らの音楽に導かれて果てしない荒野に足を踏み入れたとたん、ぼくたちもまた冒険の旅に出るのだ。
 彼らは時には手をつなぎ、時にはお互いを挑発し、ぼくたちをかきたてる。行く手をはばむとてつもなく大きな風圧のようなものがあり、引き戻されそうになりながらも、ぼくたちは彼方へとどこまでも突っ走る。
 その時、ぼくたちはとつぜん実感する。ぼくたちは自由だ。果てしなく限りなくかけがえがなく、ぼくたちは自由なのだ。
 ひとは武器を持つこともできるが、楽器を持つこともできる。ひとはなぐりあうこともできるが、手をつなぐこともできる。ひとはののしりあうこともできるが、ともに歌うこともできる。音楽の持つ力はそれを必要とする孤独な心が手をつなごうとする勇気にあり、その勇気こそが音楽を誕生させたのだ。
 ジャズと自由は手をつないでやってくる。

 Rさん、またあなたといっしょにコジカナツルのライブに立ち会えたことがうれしいです。難聴の障害を持つあなたにとって、ラジオなどから聴こえてくる歌は騒音でしかなかったこと、近藤房之助の歌と出会い、はじめて歌が自分の心に届いたことを語ってくれましたね。
 歌がやっとわかるようになったというあなたに、ぼくは楽器のすばらしさをなんとか伝えたいと思いました。何度か2人で行った箕面のバー「セブンス・ヘブン」のマスターにたのんでマイルス・ディビスやジョン・コルトレーンをかけてもらったことをおぼえていますか。
 マスターは何も聞かずにスピーカーをあなたの方に向け、大きい音でかけてくれました。その時でしたね。「小島良喜というすごいピアノひきがいるねん」と、ぼくは言いました。
 そして2002年7月21日、縁あってぼくたちはコジカナツルと近藤房之助のライブを箕面で開きました。
 「あんた、ピアノの上で寝ていたいといってたやろ。舞台に出て俺のピアノのそばにいたらどうや、金澤さんのベースの振動もわかるで」と小島良喜はあなたに言いました。
 そんなことありっ?と、ぼくもあなたもびっくりしましたが、あなたは本番のステージの間ずっと、小島良喜の後ろでピアノを抱くようにして、体ごとコジカナツルの音楽を聴く事ができました。
 「だいじょうぶ、聴こえなくても聴こえてる」と小島良喜が言った言葉を思い出しています。音楽はどんな国境も海も越えて、それを切実に必要としている心に必ず届くことを、ぼくはあの時学んだのでした。
 ぼくは今、この文章を書きながら彼らの3枚目のアルバム「コジカナツル・3」を聴いています。とても不思議な気持ちです。なぜかあの日のライブのようにぼくの心はすぐにスイングをはじめるのです。あなたもきっとそうだと思います。
 今年もあとわずかになりました。楽しかったこともうれしかったことも悲しかったこともせつなかったことも、まだ思い出になる前のこの1年を時のジャムにして、ぼくたちは明日を、新しい一年を自分らしく自由に生きていきましょう。それがぼくたちのジャズであり、ぼくたちの「たたかい」だと思っています。

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