売り上げなんぼあると思う?

豊能障害者労働センターの障害者救援バザーまで、あと一ヶ月となりました。震災直後、バザーの売り上げを全額救援金としてゆめ風基金に届けようと決めてから、あわただしい一ヶ月だったと思います。
昨日、久しぶりにバザーの倉庫に行くと、全国各地から送られてきたバザー用品と地域の市民からいただいた品物とでごったがえしていました。
ゆめ風基金の機関紙に掲載してもらったり、ゆめ風基金のブログでも案内してもらっていることで、宅配便で送られてくることが多く、封を開けると必ずお手紙が入っていて「こんな形で支援できてうれしい」とメッセージが添えられているといいます。中には被災地からも送られてきて、ご無事なことがうれしいととともに、宅配便が再開するのを待っておられて送ってきてくださった方のお気持ちに涙がでます。

16年前、阪神淡路大震災の時にも、豊能障害者労働センターは救援バザーを開きました。その時もわたしたちは事務所の入り口に山と積まれたバザー用品と格闘する毎日でした。
バザー当日は雨模様でしたがなんとか無事に終わり、片付け終えた事務所でみんながいっせいにお金を数え始めました。障害者スタッフも慣れたもので、硬貨を計算する道具を使って計算に参加していました。いたるところで、じゃりじゃりと硬貨の音が鳴り響きました。
その時でした。休憩に来た知的障害といわれるHさんが「売り上げ何ぼあると思う」と聞いてきました。そしてつづけて「ぼくはな、一億円あると思うねん」と言いました。「そんなにあるかいな」と答えながら、顔を真っ赤にして巨体をゆすり話す彼の言葉に、はっとしました。
そうです。彼の言う一億円は、被災した障害者の困難な状況をすべて解決したいと願う彼の精いっぱいの気持ちだったのです。その時、わたしは思わず涙を流してしまいました。彼の気持ちは、「そんなにないよ」としたり顔でいってしまうわたしの感性の鈍さ、傲慢さを見事にうちのめしてくれたのでした。

あれから16年たって、彼はすでに中年になり、若い障害者の先輩として活躍しています。そして今、若い障害者スタッフがもうすぐやってくるバザー当日にむかってひた走っているのを肌で感じます。
バザーでやりとりされるお金は一般経済とはちがうもので、10円20円のちいさなお金が積み重なり、心がつながっていく音がじゃらじゃら聞えてきます。
今回もわたしたちは、その音が鳴りひびく大阪府箕面市のちっぽけなプレハブの事務所から、被災地の障害者の心へと走り続けることでしょう。

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