菊池優希・山根仁美二人展ーふくみみギャラリー

静かに描かれ、静かにたたずみ、静かに願うおだやかな世界
少し前になりますが3月30日、「ふくみみギャラリー」で開かれた菊池優希・山根仁美二人展に行きました。
阪急箕面線牧落駅から10分近く、牧落八幡宮のちかくにある「ふくみみギャラリー」は画家の二口圭子さんが自宅を改造して開いたギャラリーで、専門の教育を受けていないアールブリュットともいわれる障害をもつ人たちの絵画展を開いてきました。もともとは2010年から活動している「ミントアンサンプルアートクラブ」で活動する人たちの作品を年に一度、今は箕面市民活動センターで開いています。
2023年、もっと身近で幅広く多くの作品を観てもらいたいと二口さんが自宅を改造して開いたのが「ふくみみギャラリー」で、グループ展では丁寧に紹介できなかったひとりひとりの作品をまとめて展示できるようになり、数多くの個性あふれる作品が紹介されてきました。
今回の菊池優希さんと山根仁美さんの二人展は、モチーフの花やいきものを全く違ったアプローチと作風で描かれていて、会場が一人展とはまた違った雰囲気にもなりとても楽しむことができました。
風が置き忘れたいのちたちの破片、儚くゆれる幻燈のようにー山根仁美さん
山根仁美さんの作品は、とてもやさしい風が通り過ぎた後にとり残された花々やいきものたちをゆっくりとすくい上げるようで、うっかり息を吹きかけると消えてしまいそうなとてもいとおしい作品です。こんな風景をどこかで見たような気がしていて、思い出したのが宮沢賢治の童話「やまなし」でした。
小さな谷川の底を写した二枚の青い幻燈、川の底で二匹のカニの子どもが見る光の粒たち、ぶくぶくと川底から川面へとゆらめく光の粒が空の色に染まりながら上がってくる…、どこか遠い昔に見たようなすりガラスに映るぼんやりと滲む幻燈の風景を思い出しました。
画面をクリックすると大きな画面で鑑賞できます。
いきものたちの遠いまなざしの行方で待っていてくれるものはー菊池優希さん
そして、菊池優希さんの圧倒的な作品たち。ここに展示されていたさまざまな生き物たちのどの作品にも、とてもなく大きな熱量が詰め込まれていて、思わず後ずさりしてしまいました。
ひとつひとつの作品の中から放たれ、遠く射抜かれる視線、まなざしの深さと長さ、そして決して消えることのない生き物たちへの愛…。
彼はきっと幼い頃も今も、生き物たちをこよなく愛し、そして畏敬の心を持ち続けているだと思います。彼の描く動物たちの視線はそのまま彼の熱い視線そのもので、見る者の心を捕まえて離しません。人間の都合と日常と現実を遠ざけ、その視線の彼方にあるさまざまな生き物たちの世界へと連れて行かれそうなのです。
そこには優しさや「共生」という言葉では表せない厳しい世界もまた姿を現すのでしょうか、颯爽としていて、それでいてちょっとひょうきんにポーズをとりじっと見つめる生き物たちの濃密な生態を埋め尽くす彼の指先と熱い視線にやけどしそうになりました。
画面をクリックすると大きな画面で鑑賞できます。
ふくみみギャラリー
〒562-0004 大阪府箕面市牧落2-12-16
阪急箕面線牧落駅下車徒歩5分
土・日・月・火 回廊
常設展示は不定期です。メールで確認をお願いします。
hukumimi2023@gmail.com


