コンサートがわたしにあたえてくれたもの コンサート「風の華’97」を終えて

桑名正博コンサートメモリーズ
1997年8月23日発行、豊能障害者労働センター機関紙「積木」NO.101号より

豊能障害者労働センター15周年記念
コンサート「風の華’97」を終えて

今回のコンサートは、労働センターの半分以上の人にとって、はじめての経験でした。何か月も前から準備しないといけないと、ばくぜんとわかっていても何からどうすればいいのかわからない、という状態の中で、機関紙を発送したり、チラシをまいたり、電話をかけたり…、手さぐりでとにかくすすんでいった4か月間。
真っ白だった座席表が少しずつ埋っていくにつれて、みんなの気持ちも変わっていきました。 コンサートの担当者だったYさんの感想です。

コンサートがわたしにあたえてくれたもの
Y・M

センターでみんなと一緒に働きはじめて11カ月目に行われた15周年記念のコンサート。私には11カ月以外の時の流れとみんなの思いはあまりわからなかったが、7月20日のコンサートが私にあたえてくれたものは大きかった。
コンサートが始まり、当日券の販売もひと段落し、ホールから聴こえてくるくる音楽にひきつけられて中に入った。階段を上がりきった時に、体に響いてくる音楽とホールいっぱいのお客さんに「ウワー!」という思いでいっぱいになった。
それまで前売り券などのチケットの販売を電話で受け付けてきた私としては、単純に電話で話をした人がほんとうにここに来ている、出会えているということがうれしかったのである。その時はじめて「ほんまにコーサートしてんやねー」という実感がわいてきた。
コンサートの準備をしてきた4カ月間、いろいろな動きの中で、私の心は静かだった。この心はコンサートの一週間前からようやくコトコトと動きだした。それは自分でつくりだした都合のいいちっぽけな責任感のようなものと一緒に。しかし、そのおかげで私の心の中は、ひそかな張りつめた思いと、これからなにかくるという思いで少しうめられていた。
そして、あとの残りをうめてくれたのが、現実に目の前にいるホールに来てくれた1000人くらいの人たちの姿と、さまざまな思い、桑名さんとバンドのメンバーがつくりだした大きな音楽だった。
つくづく人にしろ音楽にしろなんでもそうだと思うのだが、実際に会って、聴いて、語って、知って、そして自分を知ることが大切だと思わされた。
いっぱいにしてくれた心を「ドンドンドン」とたたかれて、忘れていたもの、伝えたいこと、笑うこと、充実感、新しく感じたこと、すきになったひとやことたち、いろんなものをふるいおとしてくれた。ほんとうにきもちよかった。4カ月前、こんな気持ちになれるとはおもっていなかった。
自分基準表の中で、私は「やりきった」と感じている。だからこそ、こんな気持ちになれた。しかし、わたしがやってきたことよりも、やってもらったこと、得たもののほうが確かに大きかった。
15周年に私はのっかって自分を少しみつけた。
15周年に私はここにいた。

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