2013年カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」

いろいろな事情が重なって、カレンダーのご案内が遅くなってしまいました。
1984年から始まったカレンダーの販売は、障害者の給料を作り出す活動として紆余曲折をへて今も続いています。
もともとは関西を中心とした障害者のグループが集まり、それぞれの地域の活動だけでは解決できない共通の課題を解決していくことを目的に1982年に結成された「障害者労働センター連絡会」で制作し、各グループがそれぞれの地域やネットワークを通じて販売し、作り出したお金を障害者の給料にしてきました。
2003年、当初からこの事業に協力してくださっていたイラストレーター・吉田たろうさんが亡くなり、後を引き継いでくださる方を探しましたが、障害者の置かれている厳しい現実やわたしたちの運動を理解してくださり、なおかつ吉田たろうさんのイラストに引けを取らないイラストレーターを探すのはとてもむずかしいことでした。
また、障害者の運動もまた働く場も生活の場も渾然としていた未分化だった状態から、介護サービスの充実を求める運動へと結集していき、また制度的にもそれに応えざるを得ない形で不十分ながらも整備されようとしていた時代でした。
障害者の雇用や所得の保障は今も取り残されている状態ですから、一般企業で働くことをこばまれてしまう障害者が業を起こし、自主事業の収益で給料を作り出すことをめざしてきた「障害者労働センター連絡会」の活動から脱退していくグループが相次ぎ、その存続が危うい状態になっていました。

そんな状況の中、すばらしいイラストレーターと出会いました。松井しのぶさんです。
彼女との出会いやカレンダー製作の経緯については、以前の記事やWebでも書いていますので、お読みくだされば幸いです。
早いもので、このカレンダーも2006年版からすでに8作目のシリーズになります。
そして、「障害者労働センター連絡会」は解散し、今は豊能障害者労働センターがカレンダーの制作販売を継続しています。豊能障害者労働センターは「障害者労働センター連絡会」のめざした夢を引き継ぎ、毎年ともに販売してくれる協力グループに破格の会員価格で提供しています。
実際のところ、かつての運動仲間のほとんどが国や地方行政の福祉制度のもとで介護派遣事業所になり、カレンダーなどの物品を販売するグループは毎年減る一方です。
しかしながら、障害者が必要とする介護サービスはあるものの、そのサービスを利用するにもお金が必要です。一般企業への就労が難しい障害者が親元から離れて自分で家を借り、自立生活をはじめるには年金だけでは難しく、生活保護などの福祉サービスにたよらざるを得ない現実があります。
社会保障や福祉予算がきびしくなり、富の分配から負担の分配へと日本の社会が大きく変わろうとする今こそ、一般企業への就労が困難とされる障害者とその友人たちが自ら業を起こし、障害者の働く場と所得を作り出す活動が必要とされるのではないかと思うのです。

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