コミュニケーションの達人とカレンダーの営業に行きました。

カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」2017年5月6月イラスト (C)松井しのぶ

昨日25日、カレンダーの営業のため、箕面に行きました。午前に豊能障害者労働センターの障害者スタッフ・Tさんと市民グループ「結・みのお」におじゃましました。「結・みのお」は地域のいろいろな課題を市民自身で解決していこうと結集したグループで、箕面市民にとっても市行政にとってもたのもしい存在です。わたしが豊能障害者労働センター在職時にずいぶんお世話になった人たちですが、昨年たまたま中村哲さんの講演会の実行委員会に参加したことで、またお付き合いをさせてもらうことになりました。
カレンダーの協力依頼だけでなく、豊能障害者労働センターの障害者スタッフのTさんと結・みのおのひとたちのつながりを深めてもらえたらと思い、時間をつくっていただきました。もっともTさんはすでに結・みのおの会員さんの何人かとは知り合いでしたが…。
Tさんは今年豊能障害者労働センターの仲間になったひとで、あまり詳しく聞いていないのですがおそらく難病の影響で声が出ないのですが、よく聞くとわかるのとどうしてもの時は筆談で話してくれます。実際のところはつらいこともたくさんあるはずですが、自分の障害という個性を受け入れ、とてもナチュラルな感性と一本筋が通った生き方を持った人です。甲斐あってTさんは結・みのおの会員になり、積極的に結・みのおともかかわってくれそうで、とてもうれしく思いました。
また、結・みのおの会員さんでもあるのですが、昨年中村哲さんの講演会の記録冊子を一緒につくったNさんとSさんも来てくださっていろいろなお話ができました。
Nさんは日本基督教団箕面教会の方々に勧めてみようと言ってくださり、カレンダーを預かっていただきました。SさんはTさんととても親しくされていて、Tさんがより以上にいろいろな活動に参加していくことを応援してくれていて、カレンダーの方も協力してくださることになりました。
結・みのおで昼食をごちそうになった後、午後からは箕面市人権啓発推進協議会のKさんを訪ねました。Kさんとは個人的にとても親しくしてもらっている人ですが、Tさんとも知り合いで、つくづくTさんの人間関係の広さに驚いてしまいました。Kさんとは、いろいろな活動が世代交代する時で、Tさんたち若い世代に引き継いでいきたいねと話し合いましたが、そんなことを思うと豊能障害者労働センターを退職してすでに13年、「昔の名前」すらもうないに等しいわたしですから、ほんとうにこれを最後のおせっかいにしようと思いました。わたしにとって豊能障害者労働センターは今もいとおしくラジカルな青春で、これからもそれは変わらないとは思うのですが…。

その後、「暮らしづくりネットワーク北芝」が運営するカフエレストラン・芝樂(しばらく)でTさんとお茶を飲みながら話しました。2001年に設立された「暮らしづくりネットワーク北芝」は箕面市・萱野地域にて、地域の課題を解決するために「暮らしづくり」の活動を起こそうとしている個人やNPOグループの支援を行い、人と人、組織をつなぐネットワークとして機能することを目的とする特定非営利活動(NPO)法人です。若い人たちも高齢者も一緒になって、地域の課題を解決するための起業への出資や相談に応じたり、地域のさまざまなNPOや個人の求める情報提供したり共同事業を後押ししたりと、結成されてからすでに15年、このグループも箕面になくてはならない存在となっています。
芝樂(しばらく)は2004年にオープンしたお店で、落ち着いた雰囲気で箕面でも有数のグレードを持ったお店ですが、何か地域や町に必要な事業をしたいとか、共通の目的を持った若い人たちの出会いと活動の拠点としても活用されていて、わたしの印象では「暮らしづくりネットワーク北芝」の活動を市民に発信した出発点だったように思います。
実はTさんと話をするのは初めてで、彼女の障害のことやこれまでの人生についてもっときちんと聞かなくてはならなかったと反省しているのですが、今回はカレンダーのことをTさんに伝えたいと思う気持ちの方に偏ってしまいました。
彼女が「こうして2人で話しているときはまだなんとかなるんだけれど、大勢で話しても声が出ないのでわかってもらえないから」と話しました。
わたしは子ども頃からどもりに悩んできました。大人になってからは、どもらないように話す言葉に気を付けているため周りからそう思われないようになりましたが、例えばマイクをもって何かを訴えたりするときは一言も声が出ない時があります。
わたしは彼女の話を聞きながら、恥ずかしい思いやいじめられたこともたくさんあったけれど、どもることでまた得たものもたくさんあったことを思い出していました。ひとつの言葉が言えなくて、いろいろ言い換えてなんとか相手とコミュニケーションをとろうとすることで豊かな表現力が身に着いたり、学校で教えられた言葉よりも自分でかちとり、学んだ言葉の方が相手に伝わることもあったり、一万語の言い訳よりも「ごめん」の一言の方が気持ちを伝えられたり…。
ひととひととはわかり合えないことが含まれてこそ、わかりあえるんじゃないか。わかり合いたい、伝えたいという気持ちのほうが大切で、極端なことを言えばその中身はどちらでもいいのではないか。そして、一方が「わかり合えた」と思う時、実は相手を屈服させていることに気づかないでいることもしばしばあります。
だから…、何度も聞き返したり筆談を交えたりと、手間暇かかって面倒くさいように思えても、その果てに理解できたことは心にしみこんで、忘れることがないよ。そして、そのようにして積み重ねた「分かり合いたいと思うこと」は、やがて深い友情と信頼をつくるのだと思う。
そんな話をTさんとしていて、子どもの頃からどもりで悩んできたわたしを救ってくれたのは豊能障害者労働センターの障害者たちだったことにあらためて気づいたのでした。彼女たち彼たちはほんとうにコミュニケーションの達人だと思います。
そうこうしていると、さっき結で別れたSさんから電話がかかり、今から能勢に行くのでまだ箕面だったら送ってくれるとのこと。Sさんは箕面でフェアトレードの雑貨店をされていましたが、東能勢の地黄郵便局の近くの古民家を改造して年内に開店を予定されているのです。交通の便に苦労しているので、ありがたく乗せてもらうことにしました。
途中、改造中のお店を見せていただきましたが、たたずまいも付近のロケーションも素晴らしく、開店が待ち遠しいです。
厚かましくも家まで送ってもらい、とても助かりました。Sさん、ありがとうございました。
カレンダーの営業成果はもとより、久しぶりにわたしが信頼する2つのグループの拠点を訪ね、ここ10年の進化も目を見張るものがありますが、何よりも若い世代が引き継いで大切な夢をバトンリレーしていることに心を打たれました。
わたしは能勢に来てまだ5年ということだけでなく、なかなか能勢の住民としての手ごたえを感じることができずにいますので、箕面の旧友との交流だけでなく、能勢で新しい友情をつくっていきたいと思った1日でした。

この食事にコーヒーを追加しても1000円です。

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