画期的だった新人議員の活動報告会 難波希美子と能勢ルネッサンス

7月13日、能勢町議会議員選挙に当選し、新人議員としてはじめての6月議会を経験した井上加奈子さん、難波希美子さんが合同報告会を開きました。
難波さんは毎月発行する「なんばきみこ通信」で、井上さんはインスタグラムで議員活動や二人の目指すものを発信しています。
報告会には20人を越える参加があり、現町会議員や前議員の方も参加してくださいました。初めの一時間はそれぞれの選挙活動と、議員になってからのこれまでの活動の報告がありました。そして、新人議員として初めての一般質問の中身と町行政の回答、やり取りが報告されました。
井上さんは子育て世代が安心して利用できる公園の設置を訴えていますが、議員一人では何もできないことも事実で、何よりも一人でも多くの住民とともに公園設置に向けての課題を共有し、住民みんなにとってより良いまちづくりの施策の一つとして、公園設置を粘り強く町行政に訴えていくと話されました。6月議会では森田議員も防災公園の設置を提案されました。
能勢町のように自然がいっぱいの地域では、「能勢町全体が公園」という考えにも一理あります。しかしながら、井上さんが訴える旧小学校区6か所にそれぞれの地域の子どもたちとお母さん方が安心して集まれる公園は、コミュニティの拠点として住民ひとりひとりの状況を日常で把握することにもなり、災害時にはその情報がいのちを守る助けとなります。わたしは議会を傍聴していて、森田議員の提案と井上さんの提案のすり合わせをすれば、公園の設置が実現する可能性もあるように思います。当面は、旧庁舎跡地の計画の中で防災の機能を持った公園設置が模索されることが期待されます。

難波さんは2011年東日本大震災と東京電力福島第一原発事故をきっかけに政治に関心を持ち、原発問題を含めさまざまな住民運動を続ける人々と出会い、「おかしい!」を共有し、おかしい現実を変えていく活動をしてきました。
22年前に能勢町に移住し、能勢の環境保全、自然保護の活動を続けてきて、議員活動もそのひとつと考えています。
井上さんとも共有する実感として、「議会の常識は世の中の非常識」とつくづく感じたと言います。もっとも、確かに今までの議会の決まりごとも、長い間の工夫の結果できたものと思いますし、議会のすべての常識がおかしいとは言えないと思いますが、少なくとも新しく一員になった2人の率直な感想は、これから議会の在り方を変えていく大切な情報だと思います。
難波さんの一般質問は、町長の今年度の施政方針に掲げる「食料生産や生物多様性の保全、自然エネルギーの利用など里山本来の資源が持続的に循環利用できる営みの確立」(広報のせ4月号)という高邁な施策と、「里山未来都市」の創生に向けた初年度にあたり、7つの基本プロジェクトのひとつである「能勢町高度産業化推進プロジェクト」は矛盾するのではないかと質問しました。
このプロジェクトは農地の保全と農業の持続性を高めるために、農業企業の誘致を促進するとともに、新たな産業の誘致を支援することで、雇用の創出や地域経済の振興を目指すとされています。「とりわけ、非農業系企業の誘致については、新名神高速道路の開通により本町を取り巻く交通アクセスが向上する中で、産業立地の需要が高まっています。しかしながら、町域の1パーセントである市街化区域では、一定規模の産業用地を確保することは困難であり、このため周辺環境との町を図りつつ市街化区域に近接した幹線道路沿道の既存農地を産業用地に転換できるよう取り組みを進めたいと考えています。」(広報のせ4月号)とのことで、優良農地を事実上こわしてスプラウト工場を作る計画は、今も農地の所有者と交渉中ということです。
難波さんが町議会議員選挙に出るきっかけになった計画で、難波さんもわたしたちも農地を工業用地にして企業誘致を図るのではなく、農林業従事者と新規就農者への支援と移住者への積極的な支援を強化することが、能勢の豊かな資源(コモンウェルス)を残すことになると考えています。
町長は、「わたしは能勢町住民の豊かな未来をつくる使命と義務を持って、このプロジェクトをすすめている」と答えましたが、コロナによる日本経済の構造的変化が起きつつある今、経済成長の幻想にとらわれた企業誘致が能勢の豊かさを保証するとは私には思えません。
また、難波さんは旧歌垣小学校を改修して新たな公共サービスの拠点施設として再編する事業について質問し、概算4億円が実際は8億円になったことについて、今後は概算予算を計画する時に想像力を持った予算組みを求めるとしました。
そして、新庁舎の駐車場に設置された電気自動車用の急速充電器がペースメーカーなどを利用する心臓疾患のあるひとに電磁波の影響を強く受けることを知らせたところ、町は注意の案内板を四方につけましたが、後方にさえぎるものがなく、より危険であると警告しました。そもそも、その設置場所が「おもいやり駐車」スペースにあること自体、大変な問題と思います。

そのあと、参加者の方々からさまざま提案がありました。
1. 地域公共交通会議の審議会の委員になった方からは、独自の試算による自家用車などの経費をもとに、自助を共助で見直
す交通システムを考えたい。
2. 能勢町は人口を増やしたいのか、そうでないのか。
3. 議員さんが身近な存在に思えた。
4. 傍聴に行きたくても夜や休日は議会がない。音声データは公開されるようになったが映像の記録を公開してほしい。
5. 人口が減っていく中で、東郷地区では若い子育て世代の人たちが移住している。
わたしもそのひとりだが、とにかく住民がウェルカムで、住民が参加しやすい仕掛けや工夫があれば移住者が増える。
6. 空き家の固定資産税をうんと高くし、速やかに貸したりできるように行政がもっと積極的に仲介する。
7. 移住者を増やすために、最長一年をめどに町営住宅で移住体験できるようにする。
など、さまざまな提案やご自身に降りかかる問題などを語っていただきました。
そして最後に、「みんなで議会の傍聴に行こう」と呼びかけ合い、無事に終わりました。

今回の報告会は、2人の新人議員がいち早く報告会を開いたことそれ自体が画期的なことだとわたしは思います。わたしたちは難波さんに議会の報告会を毎回してほしいと願っていましたが、わたしたちが提案するより早く素早く行動し、井上さんと2人で報告会が開かれたことはとてもうれしいことです。
議員の役割は町行政の施策をチェックしつつ、議会でどんどん提案し、町行政がその提案を実行するようにもっていくことですが、一方でその提案が住民の声をどれだけ反映しているかが議会内外で問われることでもあります。
能勢町のすべての課題に精通し学習することはなかなか困難である以上、報告会や対話を通じて一人でも多くの住民の生の声を聞くことはとても大切なことだと思いますし、また合同の報告会でしたので井上さんと普段お話しする機会がないわたしも、井上さんのビジョンや思い、ミッションに触れることもできました。
これからもこの集まりが続いてくれたらいいなと思いました。

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