大阪市の廃止は、自立障害者の生きる権利を脅かす

大阪の障害者団体が、大阪市を廃止して4つの特別区にする、いわゆる都構想に反対して街頭活動を続けています。
10月7日は市役所前に車いすを利用する障害者ら約200人が集まり、反対集会を開きました。「重度訪問介護」サービスを利用してヘルパーの介助を受けながら1人暮らしをする障害者にとって、大阪市が廃止され、自分が居住する特別区で今まで通りのヘルパー派遣が認められるかは不明で、特別区の財政力によってサービスに格差が出る恐れがあります。
大阪市の障害者団体のネットワークは毎年、大阪市の福祉セクションだけではなく、他のセクションを含めたオールラウンド交渉を粘り強く続けてきました。
この交渉によって自立障害者へのヘルパー派遣の充実や、全国に先駆けてけん引してきた共に学ぶ教育運動によって、地域の学校に障害のある子もない子も共に学ぶ教育保障を実現してきました。
大阪市の障害者福祉や障害者の人権施策は、そのまま近隣の市町村行政にも影響を与えてきました。わたしは1980年から2003年まで、箕面市の障害者運動の一員でしたが、箕面市でもオールラウンド交渉を始めることができたのは、大阪市の障害者団体と大阪市行政が協働して問題解決を進めていることがお手本となったからでした。
大阪市を廃止して4つの特別区に再編することは、住民サービスに格差が生まれる可能性が懸念されることもさることながら、人口270万人の政令指定都市・大阪市が廃止されると長年共に築いてきた大阪市との協働がなくなり、その影響は大阪市内にとどまらず大阪府下の市町村に住む障害者と障害者団体、そして各市町村行政の障害者施策にも大きな影響を与えることが必死です。
その意味においても、「都構想」の問題は大阪市のみのことではなく、大阪府下の市町村と隣の県とその各市町村、さらには全国の障害者の生活と人権に大きな影響を与えることになるのです。
大阪維新の会の松井代表は、参議院議員の木村英子さんが議員活動の介護保障を求めたのに対して、「政治家は個人事業主だから、事業主の責任で(費用支出に)対応すべきだ」と発言しました。
また日本維新の会の音喜多議員は、同じく参議院議員の船後靖彦さんが「人工呼吸器を装着しており、感染症にかかると命に関わる現状。医療者からの助言も踏まえ、欠席という苦渋の決断をした」という声明を出して欠席した時、ツイッターで「その分の歳費は返納されないと国民の納得を得るのは厳しい」と発信しました。
どちらも障害者に対する差別と偏見から発言されただけでなく、多くの人々がそう思って賛成するはずだという差別意識を生み出し拡散するもので、維新の会の人権感覚を疑わざるを得ません。
そんな人権感覚しか持っていない大阪維新の会だからこそ、大阪市が廃止され、4つの特別区に組み込まれた障害者施策がどうなっていくのか、本当に心配です。

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