「島津亜矢【公式】歌怪獣チャンネル」(YouTubeチャンネル)

島津亜矢がYouTubeチャンネル「島津亜矢【公式】歌怪獣チャンネル」を開設しました。
新型コロナウイルス感染症の影響で開催予定だったコンサートや新歌舞伎座の座長公演も中止もしくは延期となり、全国各地のコンサートが主な活動である島津亜矢は表現行為が著しく制限されてしまいました。
連休明けに緊急事態宣言の解除はほぼ絶望的な状況で、よりいっそうの我慢を強いられることで「自粛疲れ」が限界になり、感染症への恐怖がさまざまな差別言動や虐待や暴行がさらに頻繁に起きると予想される中、いろいろな歌手など芸能人やスポーツ選手が独自のYouTubeチャンネルで外出自粛をよびかけています。
島津亜矢もまた、コンサートに参加予定だったファンに直接メッセージを届ける手段として、さらには外出自粛を余儀なくされているひとの心が少しでも慰められるならばと、YouTubeチャンネルの開設に踏み切ったのだと思います。
3月末に開設、「糸」からはじまり、「眦(まなじり)」、「帰らんちゃよか」、「上を向いて歩こう」、「海鳴りの詩」、「アイノカタチ」、「感謝状~母へのメッセージ~」、「おきな草」、「想い出よありがとう」、「歌路遥かに」と、すでに10曲の生歌を聴くことができます。
どの歌も彼女らしい素晴らしい表現力で、これから楽しみがもうひとつ増えたというのが本心ですが、今回のコロナショックを機にYouTubeチャンネルを開設したことは、おそらく島津亜矢本人はもちろんのこと彼女のプロデュースチームにとっても大きな転機と振り返る時が来るのではないかと思います。
今までは全国各地で開いてきたコンサートや座長公演、テレビやラジオ出演などの露出によってファンを増やし、CDの販売につなげる形で活動を続けてきました。その活動の成果のバロメーターのひとつとして、演歌・歌謡曲部門のCD販売のランキングがありました。
しかしながら、ずいぶん前からCDの販売数は歌手の人気を測るものではなくなってしまいました。AKBのファンのようにひとりで何百枚も買うことでお目当てのアイドルと握手する権利を得るといった、ファン心理を助長するツールにするのは例外としても、販売促進のための特典付きでCDを販売することが多くなっているからです。
音楽配信によるネット化が進み、それもダウンロードから定額の配信サービスへと変りゆく中、女性アイドルグループやジャニーズグループ、EXILE、韓流アイドルたちが若い人たちをターゲットにし、音楽市場を席巻しています。さらに、そもそも音楽そのものが何か別のサービスの「おまけ」になってしまっている場合もあり、テレビドラマやアニメドラマ、バラエティー番組、映画などとのタイアップなくしてはヒットはおろか、制作コストも単独では成立しないようになっているのではないでしょうか。
Jポップをはじめとする音楽全体が疲弊する中、かつてのようなレコード会社によるギルドからは生まれない刺激的で冒険的な楽曲が若い才能から生まれ、今また音楽ルネッサンスの到来を思わせる新しい時代への期待を感じさせるのもまた事実です。
その中で島津亜矢は出自の演歌歌手のフィールドからポップスにまでつばさを広げ、テレビの音楽番組に出演する機会も飛躍的に多くなりました。2015年、14年ぶりに出場した紅白で熱唱した「帰らんちゃよか」をマキタスポーツが絶賛、彼から「歌怪獣」という称号を与えられ、それ以後NHKの「うたコン」やTBSの「UTAGE!」などに出演し、数々のミュージシャンとの共演で圧倒的な支持をえるようになりました。
しかしながら、毎年制作する新曲CDは必ずしもその努力、実力に見合うものにはなっていないのが現状ではないでしょうか。おそらくそれは彼女のますます幅広くなる歌手活動をはかる人気のバロメーターとしては従来の演歌・歌謡曲部門のCD売り上げでは測れなくなったからだと思います。
一方、Jポップを支持する若い人たちの生活スタイルをビッグデータとして取り込み、彼女彼らに寄り添うように新しい歌手を売り込み、楽曲からライブまでをプロデュースする大手の芸能プロダクションの戦略とはまったく無縁の島津亜矢の場合、テレビの音楽番組でのポップスの歌唱がその意外性も含めて高く評価されても、持続的なプロデュースがないため、その場限りのパフォーマンスで終わってしまいがちです。もちろん、オリジナルのポップス曲がないことは、どれだけ歌唱力があっても「はやり歌」のメインストリームの埒外になってしまいます。
歌手としてのレンジの幅が広くなるほど、演歌ファンには「オリジナルの演歌を求められ、ポップスファンにはいわゆる「ポップスの名曲」を求められるジレンマがあります。
どれだけ多彩であっても生身の体は一つしかない以上、限られたスペースと時間で演歌ファンにもポップスファンにも満足してもらうは至難の業で、島津亜矢の魅力と彼女の音楽的冒険を最大限に発揮するにはどうすればいいのでしょうか。
わたしは今回のYouTubeチャンネルの開設はその答えの大きな一歩になると確信します。彼女はこれまでにブログをリニューアルし、インスタグラムも始めるなど、遅ればせながらネット配信に参画してきましたが、今回のYouTubeチャンネルの開設はコロナショックのさ中でやむを得ない事情があったものの、いままでの活動を存分に生かせる「もうひとつの島津亜矢劇場」を得たことになると期待しています。
この仮想劇場では演歌もポップスもジャズも、あらゆるジャンルの歌も自在に歌うことができます。もちろん、新曲の情宣も、テレビ番組で好評だった歌唱をすぐに再現することも可能です。視聴者も番組での歌唱を気に入った歌手で検索しますから、誘導が可能になります。いつもテレビに露出するわけでもなく、またコンサートに出向くこともないひと、CDやDVDを買うところにまで行かない人たちに、島津亜矢のあらゆる魅力をダイレクトに届けられるのです。YouTubeチャンネルでの表現は、彼女をとても身近な存在にしてくれますし、演歌もポップスもほぼ同時に聴きたいひとにリアルタイムで歌を届けられるもっともコストパフォーマンスの優れたメディアで、ここでなら大手の芸能プロダクションと対等に渡り合うことができると思うのです。
もちろん、このチャンネル自体の認知を進める情宣は欠かせませんが、同時にCDの売り上げではわからない、島津亜矢の人気と注目度がかなり率直に現れるメデイアなので、ここでは既存のメデイアやライブでは実現できないことを果敢に実行してほしいと思います。ちなみに、以前から開設している歌手は別にして、今回のコロナショックで開設したYouTubeチャンネルでは、さすがに坂本冬美が一か月ほどで5.6万の登録者数を得ている他では、島津亜矢の登録者数は約1.3万と実際の人気度を測れるものになっています。
彼女のチームがこのメデイアを最大限に生かしたプロデュースをしてくれることを切に望みます。
次回の記事でアカペラの2曲、「想い出よありがとう」、「歌路遥かに」について書こうと思います。

島津亜矢“YouTubeチャンネル”開設のご挨拶~『糸』

島津亜矢『桜』(島津亜矢【公式】歌怪獣チャンネル)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です