秋の天神さんの風物詩 「天神さんの古本まつり」 11日最終日

昨日は「天神さんの古本まつり」に行ってきました。
この催しは大阪古書研究会が大阪の古書文化の聖地といえる大阪天満宮の協力を得て1998年から毎年開いているもので、豊能障害者労働センターは最初から参加させてもらっています。
豊能障害者労働センターのリサイクル事業は1995年の阪神淡路大震災の救援バザーをきっかけに大きな事業になりました。  箕面市内はもとより、いまでは付近の町からもバザー用品の回収のお声がかかり、それを4つのお店と移動バザーで販売して障害者の所得をつくりだしているだけでなく、それらのお店はすべて障害者スタッフが切り盛りしていて、働く場をつくりだす大切な事業になりました。
古本の回収も多いのですが、回収の手間の割にほとんど商売にならない状態でした。また、回収した本の中には値打のありそうな本もあり、それらは売らないまま倉庫に眠っていました。
1998年のことでした。当時のスタッフのひとりが大阪かっぱ横丁の古本屋さんに値打のありそうな本を持っていきました。そのお店の店主・Sさんに豊能障害者労働センターの活動を説明すると好意的に話を聞いて下さり、ストックしているたくさんの本を高い値段で買って下さいました。
それからしばらくして再度本を買い取っていただこうと連絡すると、Sさんは「これらの本を私が引き取ってもいいのですが、今度わたしたちが開く古本まつりに出店して直接売ったらどうですか?特別出店で費用が掛からないように仲間に協力をお願いします」と言ってくださいました。思いがけないお話をいただき、大阪古書研究会のみなさんに感謝しつつ、このお祭りに参加させていただくことになりました。
今でこそ古本屋さんと変わらない店構えになりましたが、当初は本棚もろくになく、あり合わせの棚をつくり、いよいよ初日を迎えました。
その日はあいにくの雨でしたが、たくさんのお客さんであふれました。わたしは今でもその日の雨の音と、お客さんたちが神社の境内の砂地を踏むひたひたという音を覚えています。音楽などはいっさいかからないのですが、ただひたすら雨音と足音が奏でるハーモニーはどんなBGMよりも素敵な音楽でした。それはこのおまつりにためにやってきた無数の本たちとお客さんたちとの出会いの音楽でした。
あるひとから別れた本がまた別のひとと出会うことができる古本は、新刊よりもはげしくその本を必要とするひとを待ちつづけているのでしょう。ひともまた、誰かから手渡されたその本が自分の人生の道しるべになる、そんな切実な願いをかなえてくれる本を求めて、このおまつりに来るのだと思います。
それから毎年、豊能障害者労働センターはこのおまつりに参加させていただき、今ではわたしもふくめていきさつを知っている当初のスタッフはほとんどいないのに、若いスタッフが古本屋さんの仲間になっていて、愛されていることがとてもうれしいです。また、このおまつりがきっかけで、豊能障害者労働センターは箕面で独自に古本市を毎年2回開いています。

天神さんの古本まつりも、今年で19回になりました。時の過ぎて行くのはほんとうに早いものですが、今も変わらずにぎわうこのおまつりは、秋の天神さんの風物詩になっています。
そして、いまもまた、お客さんの足音がひたひたと境内に静かに響いています。
天神さんの古本まつりは11日(火)まで開かれています。
今日は夕方5時まで、最終日の11日は4時までになっています。
みなさんのご来場を心よりお待ちしています。

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