夜が明けたらもう一つの夜になった。恐ろしい「翼賛」時代がやってくる。

安倍首相は25日に衆議院の解散を表明しました。
任期途中の解散には「大義」がいるとの批判を受け、19年に実施する予定の消費税の増収分の一部を教育無償化に充てるとか、緊迫する北朝鮮問題から「国難突破解散」と言いましたが、ほんとうは国民に森友・加計問題の真相を隠し、万一の自分に対する刑事訴追を避けるためであることは明らかです。
高い支持率にも支えられた安倍政権と自民党の一強体制は数の力で秘密保護法、安保法制を強行採決し、共謀罪に至っては強行採決どころか委員会での採決をはぶく「中間報告」で成立させてきました。
今年になって国有地が8億円も値引かれて森友学園に売却されたことや、国家戦略特区での獣医学部新設にあたり、学長が首相の友人である加計学園に不正に決定されたのではないかという疑惑、そして自衛隊の南スーダンでのPKO活動で戦闘に巻き込まれた事実を隠した日報問題など、安倍政権の中枢が権力を乱用・私物化する実態が明るみになりました。森友学園の問題では財務省近畿財務局が主導して一連の工作がすすめられた事実が文書や録音テープによって証明されています。
また一時は名誉校長にもなりその一連の工作にも関与し、安倍晋三による寄付金100万円を籠池氏に手渡したとされる安倍昭恵氏や加計学園問題に関与した官僚が国会での証人喚問、参考人喚問を拒否し、出席しても「記憶にない」の一点張りで真実を語らない不誠実で傲慢な姿勢が批判を受け、内閣支持率が急低下しました。
本来はそれらの疑惑を解明するために開かれるはずだった臨時国会の冒頭解散は、あきらかに「森友・加計かくし」に間違いありません。
しかしながら、数々の疑惑が解明されない中で自民党は議席を減らすことも覚悟しているはずです。それでも解散という究極の強硬策に打って出たのは森友・加計問題、とりわけ森友学園問題が財務省近畿財務局の背任訴追となり、そこから安倍昭恵氏の関与から安倍首相本人にまで刑事事件の対象となる危険水域にあるためだと思います。それほど、実は森友学園問題では安倍首相も政権も自民党も追い込まれているのではないでしょうか。
真相究明を求める国民をシャットアウトしておきながら国民に信任の白票を投じることを強制する、国民をなめ切った傲慢さに対して、市民と野党の共闘という反自民の「受け皿」作りだけでは足らないという思いがあります。
すでにこの選挙では小池新党「希望の党」が自民党をしのぐ新しいムーブメントを起こすことが明らかで、補完勢力どころか、保守本流に躍り出る仕掛けづくりに成功しつつあります。そのマグマはあわよくば民進党はもちろんのこと、政権与党の公明党にまで力が及び、共産党を除いた反自民の政界再編による政権交代の可能性まで広がっています。
実際、25日の夜のテレビの報道番組で解散の「大義」力説した安倍首相のすぐ後で小池さんが出演し、反自民を打ち出し国民の不満を取り込むほんとうの受け皿として「希望の党」の存在感に安倍首相がかすんで見えました。
マスコミ戦略がずば抜けて秀でている小池さんにとっては、安倍さんが狙った突然の解散は、この新党の化けの皮がはがれるまえの期待感にあふれる短期決戦を最大に生かすことでしょう。
ほんとうに、あれよあれよと思う間に政界再編から、ついこの間までは思いもしなかった政権交代が起きるかもしれません。多くの人々が新しい風が政治をより良い方向へと導いてくれると期待するでしょうが、わたしは「夜が明けたらもう一つの夜になった」というように、安倍自民党よりも恐ろしい「翼賛」時代がやってくるのではないかと思っています。
民進党の前原氏が共産党との共闘を見直す理由のひとつして原発労組を持つ連合の顔色を見ている間に、目ざとい小池さんはあっさりと反原発を打ち出しました。
また、共産党アレルギーで共産党と組めば民進党の票が減るといいますが、そもそも共産党とはかかわりなく、民進党を支持していた保守層の一部は「小池新党」へとなだれ込んでいます。
小池新党の存在感が増す中で出し惜しみの証文のきらいはありますが、いわゆる無党派層のわたしは共産党をふくむ野党共闘に望みを託したいと思います。
安倍一強体制と小池新党のブームに飲み込まれる前に、その荒波に立ち向かい、かなわぬまでも独自の結集軸を用意してほしいのです。
そのために、前原さんはご自身の政治理念や戦略を大転換し、共産党をふくむ野党共闘に向けて全力を注入してほしいと思います。石橋をたたくだけでは小池さんの大博打に埋没してしまいます。
そうすれば大義は野党共闘の方にあります。日本の民主主義が安倍政権によって危機に瀕している今、また小池新党の台頭に立ち向かい、民主主義と国家と国民の生活を救うために、小異を捨ててともにたたかう民進党になってほしいのです。
もうひとつ、民進党のどこかはっきりしない自信のなさは、前身の民主党政権へのバッシングからきていると思いますが、わたしは民主党政権が決して悪くなかったと思っています。世間の受けの悪い「成長なき豊かな社会」を提唱したり、今安倍政権下で副作用が出ていますが内閣府による官僚支配や子ども手当、高校授業料無償化・就学支援金支給制度、「事業仕分け」など、実は安倍政権が引き次ぎ、安倍政権の手柄になっている政策も少なからずあります。
GDPに反映する大企業にはよくなくても、また「決められない政治」と言われても、年収250万にも満たなかったわたしには、「コンクリートより人間」という理念をかかげた民主党政権はとても身近に感じていました。世界的にもリーマンショックから東日本大震災という激動の時代に、おおむね民主党政権はよくやったと思います。安倍政権の経済政策はリーマンショックからの立ち直りに助けられ、為替と株価が喜ぶ異常な金融緩和で国民のご機嫌をとっただけとも思われ、これからその副作用がホディブローのようにやってくるのではないかと心配です。
また、北朝鮮に対して武力をもちらつかせる自国が一番の大国主義・トランプ氏のアメリカに、今ほど従順な日本国総理がいたでしょうか。朝鮮半島のすぐ隣の日本と、はるか遠くのアメリカとでは、北朝鮮への対し方はおのずと違うはずです。万一、武力衝突があれば、日本の大地も国民もおびただしい犠牲を払わなければならないのです。
この緊迫した現状で、北朝鮮の国民に対して人道支援を模索する韓国は、やはり同じ朝鮮民族として北朝鮮の国民を救いたいと願いと、対話によって朝鮮半島の犠牲をなくしたいという意志と平和を実現しようとする勇気を感じます。
それに対して朝鮮半島の隣にあり、原発がミサイルの標的になる危険があるのに、安倍首相は圧力圧力とくりかえすだけで日本国民の安全を守れると思っているのでしょうか。
わたしは国家を危険にさらし、国民のいのちが犠牲になることをいとわないとさえ思える安倍政権は、アメリカのトランプ政権、北朝鮮の金政権と等しく退陣するか、政策を180度転換してほしいと思います。
今回の選挙はその絶好のチャンスともいえるのではないかと思います。

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