桑名正博with小島良喜

小島良喜の指がゆるやかに鍵盤をたたく。するともうそこは砂浜、今夜の海はとても静かで時折魚たちが銀の腹をこっそり見せては闇に消える・・・。
桑名正博のギターがまるで光の釣り糸のように暗闇に投げ出される。夜の海と空の割れ目を越えてあのなつかしくもせつない歌が押し寄せる・・・。

11月9日の大阪なんば・湊町「music bar S.O.Ra.」(ソラ)の桑名正博with小島良喜(HEART AID~SIDE BY SIDE 2011~)は、セクシーなライブでした。
小島さんのライブには縁あって最近も行っていましたが、桑名さんのライブは長い間ご無沙汰してしまって申し訳なく思っていました。今回、ほんとうに久しぶりに二人の組み合わせの演奏にすっかり聴き入ってしまいました。
桑名さんはもちろん日本に何人かのボーカリストだと思いますが、若い時の桑名さんとはまたちがい、とてもナチュラルでごまかしのない声で、シャウトする時もバラードをいとおしく歌う時も心にグッと迫ってきました。今だから歌える深みのある歌を次から次へと歌う桑名さんは、やっぱりすごかったです。
小島さんのピアノは最近のブルージンクなシーンはあまりなかったけれど、とても繊細で、桑名さんのボーカルとギターにこんなふうにからむピアノは、やはり彼しかいないと思いました。
今夜の二人はほんとうにしあわせそうで、そのやさしい音楽につつまれたわたしも、とても幸せな一夜を過ごすことができました。
一週間前に電話したら、「立ち見でもよければ」とお店の方が行って下さったのですが、行ってみると30人も入れるかというお店でステージが近く、しかもステージのすぐそばの補助いすに案内して下さいました。
桑名さんは2メートルぐらい、小島さんは3メートルぐらいのかぶりつきで、いままで何度もライブに来たけれど、こんな近くでトップアーティストの演奏を聴き、彼らのしぐさや表情をつぶさに見れて、最高に幸せでした。

実は1990年、豊能障害者労働センター主催でこの二人のコンサートをして、それから93年までの4年間と、桑名さんは1997年にも箕面に来ていただいて、ほんとうにおせわになりました。
演奏が終わった後、桑名さんにあいさつするとおぼえていてくださり、とてもうれしかったです。小島さんにもあいさつしてその場を去りましたが、もう20年以上も前になるコンサートの思い出もよみがえってきました。
20年前の桑名さんのコンサートの思い出を、また別の機会に書きたいと思います。

桑名正博「そこからがパラダイス」

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