よい年でありますように。2023年のはじまりに思うこと

決して明るいとは言えない今こそ、共に生きる勇気を分け合い、人生を静かに旅したい!
そして、ささやかな未来への道しるべを数少ない友とたどれたらいいなと思います。
2023年1月

 能勢は不思議なほど雪もふらず、おだやかな年のはじめです。
 もっとも、昨年のお正月も雪は少し降ったものの穏やかな正月でしたが、大みそかにはなんと切なく悲しく殺伐とした一年だったことかと心が痛むばかりでした。
 新型コロナ感染症もまだまだおさまるどころではなく、またウクライナ戦争も行き着くところもわからずに今この時も多くの人々のいのちが奪われ続けていることに、一人の人間の夢や願いや行動だけではどうしようもない現実への絶望におそわれます。
 それでも、いろいろな人のメッセージに勇気づけられ、わたしもまたささやかな一歩を歩き出そうとおもいます。

安倍晋三元首相銃撃死事件が開けてしまった黒い穴と反共産主義のマインドコントロール

 昨年の衝撃的なできごとのひとつ、安倍晋三元首相銃撃死事件はその実行者が旧統一教会の宗教二世だったことで、旧統一教会の霊感商法と莫大な献金・寄附勧誘が明るみに出る一方、自民党をはじめとする政治家との癒着が大問題になっています。
 わたしはこの大事件が旧統一教会の解散でも解決しない一カルト宗教団体の問題ではないと思います。むしろマスコミ報道が巧妙にかくしている印象がありますが、戦後民主主義を標榜する権力層が忌み嫌い、恐怖してきた「共産主義」を阻止するために政治・文化・芸能・生活などすべての分野にわたり「反共」というキーワードで黒いネットワークが旧統一教会と勝共連合を利用してきたのだと思います。
 八紘一宇、五族協和、大東亜共栄圏のスローガンのもとでアジア侵略と植民地化に突き進んだ果ての敗戦を迎えても、明治以後の国体をアメリカからも共産主義からも守るために無数の国民のいのちを犠牲にし、戦後のアメリカの占領政策による財閥の解体、農地解放、私有財産の没収という体験を味わった日本社会の黒いネットワークは、取り返した権力を脅かしかねない共産主義を排除するために小異を捨てて大同団結し、そのプロセスに旧統一教会と勝共連合を必要としたのでしょう。
 しかしながら、冷戦が生んだ「反共」というキーワードは、スターリニズムから国家社会主義、さらには国家権威主義と変遷する中、ベルリンの壁崩壊とソ連解体によって西側の「民主主義」の勝利とみなした人々にとって、すでに「共産主義」は恐怖の対象ではなくなったのかもしれません。
 私有財産の没収への恐怖は戦後の経済成長が生んだ中産階級の人たちをも抱え込み、日本社会は共産主義、社会主義への恐怖を底辺で増幅させるマインドコントロールに支配されてしまったように思います。
 一年のはじまりに、ある宗教の宗教二世だったわたしの人生と、日本社会と世界が数多くの真実と恐怖をふさいできた黒い穴とがどのようにつながりもつれてきたのかを顧みて、もしかするとわたしの、わたしたちの、世界のひとびとの祈りとして人間の歴史が密やかに引き継いできた共産主義という見果てぬ夢の軌跡をたどり、人間がかかる最後の病気かもしれない希望を探してみたいと思うのです。

今年もよろしくお願いします。