小林節さんと木村早太さんと念仏九条の会のデモ行進

6月8日の夜、箕面市立メイプルホールで小林節さんの講演会がありました。小林節さんは昨年6月4日の衆院憲法審査会で集団的自衛権など新安保法制を憲法違反との認識を示し、長谷部恭男・早稲田大学教授と共に「時の人」となった方ですが、今年の参議院選挙の結果、改憲勢力が3分の2の議席を獲得することを阻止するために野党の結集を呼び掛けてきました。
しかしながら、参議院の一人区では野党の統一行動が実現しましたが比例区については話し合いがつかず、こうなったら自ら退路を断って出馬も止む無しと、小林さんは「国民怒れる声」という政治団体をつくりご自身も比例区に立候補し、行き場のない票の受け皿をつくることにしたということです。
「今こそ憲法が活きる日本を!」と題したお話しは、「戦争法」が実態の新安保法制がなぜ違憲なのかという話に始まり、自らも改憲論者でありながら、2度と戦争をせず国際紛争を武力ではなく話し合いで解決することを内外に宣言する「世界に誇れる日本国憲法」を壊してしまっては絶対にならないという、小林さんの切なる思いと覚悟が伝わる講演でした。
主催の「基地も原発もない平和な世界へ 箕面ピースフェスタ2016」は、箕面市内の27ほどの市民活動団体が参加していて、以前箕面で活動していたかかわりで受付や場内整理のスタッフ、参加された人たちの中に旧知のひとたちと久しぶりに会い、向こうから声をかけてくださった方も多く、とてもうれしく思いました。
ここ2年ばかりの間に箕面のひとたちと一緒に活動する機会に恵まれ、参議院選挙もふくめてこれからも仲間に入れていただけそうな予感があり、仕事をやめてから忙しい毎日を過ごしています。
わたしはいままで障害者の問題をはじめとする人権問題には積極的にかかわってきたものの、平和と民主主義など政治とかかわる問題には直接かかわらないで来ました。今でもみなさんに信じてもらえないのですがどもりで、たとえばマイクをもって自分の考えをまとめて話をするのがまるでだめですし、車の運転もできず、また若いころはともかく体力にも自信がないわたしは、どうしても〇〇集会やデモなどに参加しても隅っこでできるだけ目立たなくその場にいるのが精いっぱいです。
ですから、シールズの若者がとてもわかりやすく自分の考えや思いを自分の言葉で話すのに嫉妬しながらもほんとうに感動してしまいます。どもりゆえなのかわたしは言葉の力を信じていて、彼女や彼の言葉はオバマ大統領の広島のスピーチよりもはるかに説得力を持っていて、サイレントマジョリテイといわれるわたしのような人間の心にも深く重く届けられるのです。
しかしながらサイレントマジョリテイはサイレントマイノリティの集まりで、選挙を棄権したり俗に浮動票といわれてしまうサイレントマジョリテイこそが今度の選挙を左右するのかもしれません。その意味では日本国憲法という世界の宝を捨て、日本を戦争のできる国に変え、個人の自由をせばめて息苦しい国に変えようとする大きな力にあらがい、人生最後のたたかいに挑む小林さんたちの行動は勇気のいることだと思います。

あくる日の9日は大阪の本願寺津村別院で、念仏者九条の会の全国集会が開かれ、木村早太さんの講演がありました。テレビのコメンテイターとしても一躍有名になった木村さんのお話は、決起集会となった小林さんの講演会とは反対にとても物静かに語り口で、あたかも出張公開講座のようでした。
「憲法学と2015安保法制」という題で話され、しっかりしたレジメに基づいて淡々と話されたことは、大体次のようなものだったと思います。
そもそも日本国憲法は政府に行政権と外交権は与えているが、憲法9条の武力行使・戦争の放棄、そのために軍隊を持たないという原則により、軍事権を認めていない。
その中でも、憲法13条の「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」を保護する義務があることを根拠に個別的自衛権を合憲として自衛隊を認めてきたが、集団的自衛権による他国防衛は明らかな軍事権の行使であって、政府に軍事権を与えていない日本国憲法においては政府による「越権行為」であり憲法違反である。
政府がその根拠とした存立危機事態は武力攻撃事態と重なっていて、その場合は個別的自衛権で対処することになり、国外で武力を行使する集団的自衛権は違憲であるか必要のないもので、よくわからないあいまい不明確ゆえにやはり違憲である。
前日の小林節さんの話と語り口はちがいますが、どちらも血で血を洗う戦争で犠牲になった無数のいのちを悼み、二度と戦争をしないと誓った世界の人々の思いを託されてつくられた日本国憲法には軍事権に関することは記されていない。書かれていないから何でもできると考えるのはとても危険で、書かれていない真意をくみ取り、日本国憲法という世界の宝を預けられた日本には、武力を保持しないでいい国際社会を実現する役割がもとめられているというお話でした。
講演の後、若い念仏者の方2人からの提言・決意が述べられ、最後に行動提起がありました。念仏者の方々の発言はとてもストレートで、「参議院選挙で改憲勢力に3分の2の議席を断固阻止し、安保法制の撤回を求めるもので、その内容は他の集会と変わらないのですが、「南無阿弥陀仏」と唱えながらの訴えはさながら一向一揆のようでした。
そのあとのデモがまた不思議で、100人方が参加したやや小さなデモでしたが、お坊さんが街宣マイクで道行く人々に訴え、そのあと「コールします」という掛け声で「変えたらアカン法がある」、「憲法9条は仏の教え」など、宗教者のデモにふさわしい「ユニーク」なコールがなんとも感動的でした。
そして、過去に戦争に協力してしまったことを忘れず、その深い後悔の念が受け継がれ、2度とその過ちをしない覚悟がお坊さんたちと門信徒のひとたちの後ろ姿からひしひしと伝わってきました。
シールズの若者たちとはまたちがう説得力を持ったデモに行きかう人々は心なしか驚きをもって写真を撮る人たちがやたらと多く、もの珍しさも味方してこの街頭行動はとても有効なものでした。

 

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