Tシャツ一枚分の自由、そこからまた旅をはじめたい。憲法とわたしの人生1

サルトル、マルクスならべても
明日の天気はわからねえ
やくざ映画の看板に、夢は夜ひらく
「夢は夜ひらく」(三上寛)

「KISSPEACE」というメッセージTシャツをつくりました。
このTシャツは10年以上も前にわたしが大阪のある障害者作業所で活動していた時につくったTシャツの復刻版です。
アメリカ同時多発テロ、アフガニスタン空爆、イラク戦争とつづく世界に、「キスすることはいのちの重さにふれること」というメッセージとともに、平和を願う世界の人々と届かぬまでも手をつなぎたいと願ってつくったこのTシャツはそれなりに反響を呼び、たくさんの方というほどではありませんでしたが、購入してくださる方からメッセージやはげましの手紙をいただいたことを思い出します。
そして、今テロが世界中で頻繁に起こり、その恐怖に世界中が身を固くしている現実を前にして、里山能勢で平和を願うひとびとがつどう「PEACE MARKET・のせ」の開催に合わせて、独自にメッセージTシャツを作ろうと思ったのでした。

わたしの生まれた1947年、日本国憲法が施行されました。わたしは日本国憲法とともに育ち、大人になり、年をかさねてきたことを実感します。
空襲で焼け残ったままの建物、アメリカ兵が乗るジープ、メリケン粉と呼んだ小麦粉の配給、牛や馬やロバが黒い道に残すコッペパンのような糞、圧倒的な貧乏とどこまでも広がる青空…。遠い記憶をたぐりよせれば、そこは荒野。自由と民主主義と平和はそこから生まれ、わたしもまたその荒野で生まれました。
戦後71年をへて、今回の参議院選挙の結果によっては憲法改正が政治のテーブルにのることが現実味を帯びる中で、あらためてわたしと憲法が同級生なのだと思います。
わたしの感じ方、考え方、行動すべてに色濃く影響を与えたはずの「戦後民主主義」と憲法が問われるのなら、69歳をまじかに控えたわたしの人生は何だったのかと立ち止まってしまうのです。時代の中でしか生きられないわたしたちひとりひとりは、その個別の事情の中で時代全体を実現していくのですから…。
わたしにとってTシャツとはそんなわたしが参加してきた時代のキャンバスでもあり、自分の人生がそこからはじまったもうひとつの荒野でもあるのです。
Tシャツ一枚分の荒野、Tシャツ一枚分の青空、Tシャツ一枚分の自由、そこからもう一度、旅をはじめたい。

三上寛「夢は夜ひらく」

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