自由より他に神はなし コジカナツル

「コジカナツル」の音楽に包まれたまま、自分がどこかに行方不明になったようで、ふらふらしていましたが、やっと現実の世界に戻ってきました。
けれども前回書き切れなかったことがあったので、少し付け加えさせていただきます。
ライブの報告をしているのに、彼らが演奏した曲目についてひとつも書いたことがないのは、とてもはずかしいのですが、ほとんど知らないのです。
それで、今回は少し勉強しようと「コジカナツル」のCDを聴き直し、2つだけ名前を憶えました。一つはハービー・ハンコックの「カンタロープアイランド」、もうひとつはボブ・ディランの「マイ・バック・ページ」でした。オリジナル曲も演奏していたのですが、まだよくわかりません。
というより、あまり音楽のことを知らないわたしには、テーマの部分だけはほぼ同じものの、いつもまったくちがっているようにしか聴こえなくて、彼らの陽気でハッピーな音楽のるつぼの中でただただ「すごい」としか思いようがないのです。
最初は3人がそれぞれの演奏をたしかめながら少しずつ絡み合い、重なり合いながら、どこかでギアがぐっと入るように演奏がひとつになる瞬間、日常に明け暮れるわたしから解き放たれたもうひとりのわたしが、音楽のるつぼに立っているのでした。
その中でも、「カンタロープアイランド」は小島良喜のアップテンポのピアノが走り、鶴谷智生のドラムスがセクシーボイスで歌いだす、金澤英明のべースがその剛速球を受けとめるといった感じで、ハービー・ハンコックの名曲を猛スピードで突っ走りながら、そのメロディのしなやかな美しさが心に響きます。
「マイ・バック・ページ」は最近、同名の映画を見て改めてボブ・ディランを聴きなおしたところですが、「コジカナツル」の演奏ではいつも後方で音楽をつくっている金澤英明のベースソロが切なく優しいメロディを奏でると、ずいぶんたってから小島良喜のピアノが溶け合うようにからみはじめ、鶴谷智生もまたゆっくりと伴走する。 この曲の場合は他の曲とちがい、テーマからあまりそれないのですが、その代わりに前に行ったり後ろに行ったり並んだりしながらこの曲の生まれ故郷に帰るような、なつかしい旋律とリズムに心がゆさぶられます。
この2曲は「コジカナツル・3」というCDにも収録されています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です