壁かけカレンダーはわたしたちをいつも待っていてくれる

夢をみるまえに
夢をつくらなければならなかった
市民であるまえに
市民にならなければならなかった
だから夢がいとおしい
だからずっと街がすき
ほんとうにありがとう
あなたに会えてよかった
野に咲く花の
いっしょうけんめいを友情に
さあ、行こう
ほら、あのとびらのむこうに
未来の荒野が待っている

豊能障害者労働センターは、2012年4月で30周年をむかえます。
1982年、わたしたちは「どこにも行くところあらへん」と叫ぶひとりの障害者の絶望の岸から、小舟を大海にすべらしました。
あれから30年、豊能障害者労働センター機関紙「積木」読者の方々をはじめたくさんの方々が応援してくださり、いまでは障害者37人をふくむ60人が活動を続け、障害のあるひともないひとも運営をにない、障害者の給料をつくりだすために事業をひろげ、みんなで給料をわけあっています。
障害者が経営をにない、障害者の所得をつくり出そうとするわたしたちの活動は長い間福祉施設でもなく一般企業でもない異端とされてきましたが、国際社会でも注目されるようになった「社会的起業」として花を開く日が近づきつつあると思っています。
東日本大震災と原発事故、デフレ不況、企業倒産、最悪の失業率、政治不信…。日本全体がどこまで続くかわからない恐怖と不安に満ち溢れるまっただ中で、わたしたちは思います。「速くて強くて大きいこと」をめざした今までの百年が問われているのだと。
これからはブータンではありませんが、みんながこの地球のたからものをシェアし、分け合い、助け合って生きる道を歩きたいと思うのです。
それは、障害があることであたりまえに学ぶことも、あたりまえにはたらくことも、あたりまえに暮らしていくこともできない障害者が自らの歩く道を自ら切り開こうとして生まれた豊能障害者労働センターの30年の活動でもあります。
ともすれば無力感におそわれてしまいますが、シジフォスの神話のようにくずれてもくずれても「小さな石(意志)」を積みつづけたいと思います。ひとりひとりの小さな意志、平和を願い、共に生きる勇気こそが新しい百年を切り開くことを信じてやみません。
30年という節目をむかえ、わたしたちは日々の活動をより深めより広げながら、世界へとつづくこの大地をもう一度耕したいと思います。

わたしたちの想いを一年分の手紙にして、応援してくれる方々に利用してもらえないかと願い、カレンダーの事業をはじめたのが1984年のことでした。
たしかに、寄付を求めるのと変わりはないと言われ、心苦しい思いもしていました。けれども、障害のあるひともないひとも共に働く事業をつくりだし、障害者の所得を保障する活動は、一般企業への就労を拒まれてしまう障害者が生活保護に頼らずに自立生活をすすめるための、大切な活動であると信じてやみませんでした。
1988年、カレンダーを通信販売事業として再構築し、その後1998年のオリジナルTシャツの製作、2000年のインターネットショップ「積木屋」の開設をへて、現在の通信販売事業へと発展していきました。
わたしたちはカレンダーを製作販売することで障害者が生活していけるだけの給料をつくろうとしてきたのですが、一方でカレンダーを通じてたくさんの方々とつながっていき、障害のあるひともないひとも共に生きる社会を願うわたしたちの夢を、たくさんのひとたちの夢として実現したいと思ったのでした。

今年も、あとわずかになりました。最近は、わたしもそうですがスマートフォンなどで充分で、AKB48などアイドルカレンダーしか壁掛けカレンダーの需要は大きくないとは思います。けれども、世の中がますますヒートアップしていく時代だからこそ、壁かけカレンダーはわたしたちをいつも待っていてくれると思うのです。

カレンダー「やさしいちきゅうものがたり」
イラスト・松井しのぶ 製作・豊能障害者労働センター

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