森上のひとたちに助けられた、みんなのバザール・森上

蝉の鳴き声と一緒にやってきた夏の風にゆられて

 7月30日、難波希美子さんの事務所を兼ねているフリーマーケット店「ホップステップ・のせ」のすぐそばの駐車場をお借りして、フリーマーケット&音楽ライブを開きました。」
 フリーマーケット店「ホップステップ・のせ」は2020年の秋、難波さんの町議会議員補欠選挙の時に能勢産直センターの隣を貸してもらい、だれでも気軽に立ち寄れる場にしようとはじめたお店です。
 始めた頃は箕面の豊能障害者労働センターに助けてもらい、品物を仕入れていたのですが、すぐに能勢町民からの寄附が寄せられ、それだけで品物が回るようになりました。
 難波さんは補欠選挙では結果がでず、翌年の4月の選挙で町議会議員になり、事務所の機能をどうしていくか話し合い、フリーマーケットのお店としても知られるようになったので、お店を続けることになりました。
 スタッフといっても数人でお店に入れる人はいない状態なので彼女が店に入ることになりますが、議員活動と長年関わってきた様々な住民運動を保障すると毎日営業できるわけではなく、原則月曜日と火曜日の2日だけになります。
 能勢町民に無料で提供してもらった品物を「なんでも100円」で販売するという、お店の考え方は多くのひとたちに喜ばれ、今ではもともと格安でお借りしている家賃を賄えるほどになっています。
 議員になって2年間、毎月一回発行している「なんばきみこ便り」にお店の開店予定日と議員活動を記したカレンダーを掲載しているのですが、一番読まれているのがカレンダーで、議員としての住民相談よりも気軽に立ち寄れる場にしようという努力はそれなりにむくわれているのかなと思います。なにしろ、5月にはお店の改装などで一日しか開けられなかったにもかかわらず、朝からずっとお客さんが来てくださり、とくに品物を提供してくださるひとが後を絶たず、改装したばかりのお店がまた品物で埋め尽くされることなりました。

やはり住宅地での音出しはむずかしかった

 そんな日常を過ごしながら、コロナ禍でひとが集まれる機会も場所もなくなった3年間を潜り抜け、ようやくかつての暮らしに戻ろうとする今、里山能勢の暮らしの文化をよみがえらせたいと願い、今回の催しを計画しました。
 やると決めたら梅雨も明けた夏にしようということになり、午前中なら暑さも耐えられると思ったのですが、日が近づくにつれ35度を越える猛暑がつづき、人が来てくれるかという心配より、来てくれた人がこの暑さで熱中症にならないか心配になりました。
 そこで、今回は実証実験というか、この場所で音楽とバザーを組み合わせた催しが可能か試してみようというアプローチでおそるおそる開いたというのが正直な所でした。
 音楽ステージを担当してくれた久手堅さんが出演者の呼びかけからPA(音響)まで、すべてを担ってくれました。出店の方は初めての試みであることと、食べ物は保健所に営業許可を必要とする調理食品ではないジュースやパンなどに限定したことなどの条件があり、呼びかけをほとんどせず親しい人たちだけにお願いしました。あとはグッズや楽しい楽器、沖縄物産、なかなか入らない輪投げ、ヒーリングアートやマッサージなど10店舗ほどが協力してくれました。
 世紀を超えて能勢町の里山文化を守り、育んできた地域の一つである森上地区で音楽イベント&バザーを開くのは勇気のいることでしたが、能勢産直センターと難波さんの事務所の家主さんが会場となった広い駐車場とお客さん用の駐車場も貸してくださり、まわりのお宅にもお知らせし、協力をお願いしました。
 それでも、音楽が流れることは地域の人々にとっては非日常な事なので、音の大きさにはとくに注意をしていたはずなんですが、一軒のお宅から苦情がきました。そのお宅一軒だけ、平日お勤めされているご家族からの苦情でした。
今回は40人ほどの参加をいただき、猛暑の中少ないながらも喜んでいただいたので、これならもっと広く情報を伝え、大きくできるなと思っていたところでしたので、考えさせられました。計画を立てた頃からもっとも心配していたことでしたので、これから先つづけることができるかどうかわかりません。
 深い文化が残る森上へのリスペクトをこめて、かつての賑わいを地域の人と共によみがえらせたいという願いは一方で大変失礼なことで、移住してきた者のおごりだったのかも知れないと反省します。

わたし自身も気づかない心の風景を描いてくれたヒーリングアート

 ともあれ、熱中症の危険も顧みない少し乱暴な計画だったにも関わらず事故もなく終わり、ほっとしました。演奏して下さったミュージシャンの方々、出店してくださった方々、会場整理と駐車案内をしてくださったボランティアの方々、また苦情を伝えてくださった方にとどまらず、ご理解とご協力いただいた付近住民の方々、そしてなによりも、暑い中来てくださった方々に感謝します。個人的には、ヒーリングアートで出店してくれた友人と久しぶりに会い、いろんな話を聞いてもらいながら絵を描いてもらいました。
 彼女に描いてもらうのは2回目で、その時その時のわたしの人生の現在地を発見できるのが楽しみで、今回は76歳になったわたしの人生の終着駅がおぼろげながら見え隠れしていながら、なぜか今こそという希望に照らされているような絵で、小さな勇気をいただきました。
 時々この絵を見て、これからも頑張りすぎないでやれることを続けようと思います。
 絵を描いてくれている間、人生相談してくれて、その話の中からわたし自身も気づかない心の風景を導き出してくれる…、これがヒーリングアートのだいご味なんですね。 
 でも、絵を描く友人が他人の夢や痛みをのぞき込むことでしんどくならないのかなと、少し心配でもあります。今度またチャンスがあったら、絵を描く友人が元気になれるような話をいっぱいしたいなと思いました。
 ほんとうにみなさん、ご苦労様でした。