能勢高校生による「のせ未来Café」 ピースマーケット・のせ2019

5月26日の「ピースマーケット・のせ2019」は真夏日となり、来場者が熱中症にならないか心配しましたが、盛況のうちに無事終わることができました。
今年で4回目となるこの催しですが、毎年さまざまな課題を抱えながら十分に解決の道を見つけられないまま開いてきました。
毎年そうですが、今年の場合は特に運営費が賄いきれず、初めて赤字になりそうです。運営費のめどが立たなければ今年で終了となる可能性もあり、今年の反省会で話し合うことになりました。
一方で、高齢者住宅に住む清洲辰也さんの「武器を捨てて話しあう勇気と、大地と共に生きる希望と平和を分かち合おう」という呼びかけは実行委員会のメンバーを越えて大きく広がり、同じ思いを持つたくさんのひとたちがこの催しをささえてくださいました。
里山能勢で平和を願う人びとがつどい、心と物が行き交う場として、わたしたちは庶民の買い物かごの中の夢と願いが行き交うフリーマーケット、大地から生まれ大地と共に生きる音楽、持続可能な地域づくりと世界市民とのつながりを求めて、という3つのテーマを持って活動を始めました。4回の開催を通じて、3つのテーマの取り組みはそれぞれがつながりながら里山能勢から世界へ、地理上の遠いへだたりを夢と想像力で補いながら、わたしたちの真上の空が世界各地で必死に生きているであろう子どもたちや大人たちが見上げる空とつながっていることを信じて毎年続けてきました。
その中でも、持続可能な地域づくりと世界市民とつながっていこうという試みはおまつりの雰囲気の中でなかなか形になりませんでしたが、能勢高校の協力のもと高校生の参加によって少しずつ実現してきました。
そして今年、ドイツにおいて電気、ガス、水道、交通などを地方自治体が町の事業として整備・運営するシュタットベルケに学び、能勢における持続可能な事業を進めるために、箕面市、豊中市、宝塚市の市民グループと縮小社会研究会の活動から能勢高校生が何を学び、何を感じるのか、対話と意見交換の場として「のせ未来Café」が開かれました。
ロビーステージで行われた能勢高校生によるまとめの報告からは、大人たち・市民グループの話から勇気を得て、
「気候変動の問題で大人に任せていてはいけないと立ち上がる世界の高校生の存在をしり、自分たちのできることをもっとやっていける」
「選挙権が与えられ、表面的にしか投票しなかったけれど、自分が考えることの先に必要な候補者かどうか、もっと考えて投票に行こう」
ドイツのシュタットベルケを学びに行くが、それにとどまらず能勢高校の再生可能エネルギーの発電所をつくり、実践する」
「自分サイズでできることを発見した」
など、しなやかな心からどんどん能勢の未来への提案が飛び出し、大きな拍手に包まれました。
参加した人から「生徒さんたちの真摯な姿勢に希望を感じました」、「生徒さんたちと学ぶ機会があればぜひ参加したい」、「素晴らしいの一言です。感激して胸がいっぱいになりました」という声があいつぎました。
学びの場「のせ未来Café」の大成功で、「ピースマーケット・のせ」を続けてきてよかったと思いました。
そして、能勢高校が豊中高校能勢分校であっても、わたしたちの住む能勢にとってかけがえのない高校であるとともに、その学び舎で世界とつながる能勢高校生のみなさんもまた、里山能勢の誇りであることをあらためて感じました。

さて、催しのオープニングで、呼びかけ人の清洲辰也さんの息子さんで、京都の内科医の清洲早紀さんがあいさつしてくださいました。子どもの頃に戦艦大和の模型を作って清洲さんに見せたところ、粉々に壊されたという思い出から、父親の平和への強い思いを感じたと話されました。また勤めている病院で患者さんに戦争体験を語り継いでもらう取り組みをされていることと、最近は若者とアジアの人々の交流を通じて過去の歴史を認識してもらう活動をされているそうです。
「ピースマーケット・のせ」は一年目よりライブステージを盛り上げてくれるミュージシャンにめぐまれてきました。わたしはミュージシャンが時には命をけずるように自分の音楽を探す毎日を渡りながら、「ピースマーケット・のせ」の舞台でその想いの丈を歌い、演奏してくれることに感謝してきました。ステージといっても路上と変わらない場所で、誰も用意してくれない、自分が歌い出さなければ生まれない「ステージ」で聴かせてくれる音楽はいつも最高のパフォーマンスを届けてくれました。
彼女彼らがはるばる大阪から、神戸からお迎えの車も用意できないわたしたちに怒りもせず、交通費で消えてしまいそうなわずかな礼金で能勢に来てくれるのは、きっと平和でなければ歌いたい歌を歌い、聴きたい歌を聴く自由が奪われることを知っているからなのだとわたしは思います。ひとりひとりのミュージシャンがその人にしか歌えない歌を歌う場として、ピースマーケット・のせ」を選んでくれることに、どれだけ感謝しても感謝しきれません。ひとりひとりの歌を聴かせてもらいながら、わたしはかつて竹中労が言った言葉を思い出します。「人間はどれだけ自由を奪われても、たったひとつ残る自由がある。それは自由になろうとする自由だ」。
音楽はまさしく、これから先に万一自由が閉ざされる時代がやってきたとしても、またそんな時代が来ないようにうごめきたたかうわたしたちの心の最後の扉を密やかに開けてくれるものだとわたしは信じています。その扉の向こうにあるものこそが「自由」なのだと思います。能勢の空が世界の子どもたちの頭上の空とつながり、能勢から世界の果てへと、平和と自由を願う心の叫びを彼女彼らが歌う時、聴く者の心もまた解放されていくのでした。
かつて能勢で「青天井」という歌う場をつくり、若いひとを育てたミュージシャン・ピンクさんが切り開いた音楽の荒野に、随分長い年月を経ていま、わたしたちはいるのだと思います。今年はピンクさんの連れ合いだったMさんが会場に来てくれて久しぶりの再会でした。加納ひろみさんはピンクさんが歌った「パワー」をはじめ、ピンクさんが訳した歌をこの日も聴かせてくれました。

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