大阪府能勢の里山から、声を限りに伝えたい。「PEACE MARKET・のせ」

ここ数年、日本社会においても世界においても、数多くの人々が世界の平和と安全をつくりだすためにどうすればいいのか考えつづけてきたのではないでしょうか。それぞれの国が武力による抑止力を高める一方で、紛争やテロをなくしていく必死の努力もまた進められてきました。
「平和を考えよう!つくろう!わかちあおう!たのしもう!」を合言葉に「PEACE MARKET・のせ」というイベントを開催することになったのは、現在93歳で大阪府能勢町内の高齢者住宅に住むKさんの熱い呼びかけがきっかけでした。Kさんは先の戦争の折、学徒出陣で出征し、戦後の混乱から現在まで、日本の戦前戦中戦後をかいくぐってきた生き証人と言えます。
そのKさんが、孫やその先の世代に戦争のない平和な世界を残したいという必死の願いでチラシを書き、能勢町全域の新聞に何度も折り込み広告をしました。それはKさんの命をかけたといっても大げさではない、せつない手紙でした。Kさんの訴えに応えようとさまざまな立場の人たちが集まり、日本と世界の平和を呼びかけることになりました。
世界のだれもが平和でありたいと願った21世紀は、2001年のアメリカ同時多発テロにはじまり、世界のいたるところで紛争とテロが次々と起こり、豊かな大地は瓦礫とされ、一日たりとも子どもたちの悲鳴が聞こえない日はありません。瓦礫の中で子どもたちが見つめる夜空のにじんだ星を遠く離れた日本の夜空に見つけた時、わたしたちは世界のひとびとの過酷な現実とつながっているのだと思います。
日本社会に目を向ければ安保法制が春に施行される中、夏の参議院選挙の結果によっては戦後70年の間、日本の民主主義を支えてきた平和憲法が改憲されることが現実になってしまうかも知れません。国外に自衛隊が派遣され、武力行使によって人を傷つけ、また自らも傷つき、時には命を落とす危険を覚悟しなければならないだけではなく、日本社会の日常の中にテロを呼び寄せることにもなる選択をせまられる時、日本の平和と安全を守るためにはやむを得ない武力行使であるとその選択を受け入れ、容認できるのでしょうか。
国が武力行使も辞さないとして守らなければならないとする「平和な日本社会」の底流では6人に1人の子どもが貧困で、毎年2、3万人のひとが自らのいのちを絶ってしまう現実はわたしたちと無関係であるはずはなく、わたしたちの社会もまた決して平和で安心して暮らせる社会ではないことを痛感します。
戦争のない平和な世界をつくりだすことと、自然と共生し持続可能な社会をつくりだすこと、そして国籍や戸籍や障害や性的マイノリティなどによって社会的少数者とされる人々の尊厳を守り、だれもが友情を育て、子育てし、偏見を捨て、助け合って暮らせる地域を共につくりだすこととは、深くつながっているのだと感じます。
そんな想いからわたしたちは、戦争経験者として声を上げられたKさんと心を共にし、里山に抱かれた緑豊かな能勢で平和を願うひとびとが集い、心と物と夢が行き交う市場(いちば)を開催したいと考えました。
古来の市場はちがった民族がつどい、お互いの文化を認め合う交流の場でもあり、共に平和を願い、助け合う人間の叡智の場でもありました。わたしたちは先人にならい、この催しが人と人との出会いと「共に生きる勇気」を耕し、平和で誰も傷つかない、傷つけない日本と世界をめざす一歩になるとともに、里山に抱かれ自然と共生して暮らす能勢町民にとどまらず、能勢町以外のたくさんの人びとが訪れ、能勢を知ってもらい、愛してもらうきっかけになることを願っています。

ジョン・レノン「イマジン」
Imagine all the people     さあ想像してごらん みんなが
Living life in peace       ただ平和に生きているって...

忌野清志郎「イマジン」
夢かもしれない でもその夢を見てるのは
君ひとりじゃない 仲間がいるのさ

谷川俊太郎作詞・武満徹作曲・唄小室等「死んだ男の残したものは」
死んだ兵士の残したものは
こわれた銃とゆがんだ地球
他には何も残せなかった
平和ひとつ残せなかった

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