わたしのまちのみんなのでんき

能勢町、豊能町、地域循環型まちづくり推進機構の3者共同出資「株式会社 能勢・豊能まちづくり」

 9月25日、能勢町淨瑠璃シアター小ホールで、「自然エネルギー促進のための計画作りについて」というワークショップがあり、参加しました。
 2020年7月、能勢町、豊能町、一般社団法人地域循環型まちづくり推進機構の3者の共同出資による「株式会社 能勢・豊能まちづくり」が設立されました。
 出資総額は950万円で、能勢町と豊能町は約16%ずつ株式を保有しています。
 主な事業として、エネルギーの地産地消と地域雇用、経済循環の創出、再生可能エネルギーの利用促進をすすめ、持続可能で住み続けられる地域づくりを目指しています。すでに2020年10月1日から各公共施設を中心に電力を供給していて、能勢町域の電力需要量(42ギガワットアワー)の約4分の1を賄っているそうです。
 この事業は持続可能なまちづくりを目指した現町長の公約で、ドイツのシュタットベルケ(町の事業)をモデルにしています。「Stadtwerke(シュタットベルケ)」は、電気、ガス、水道、交通などの公共インフラを整備・運営する自治体所有の公益会社(公社)で、ドイツ全体で約1400社存在し、電気事業を手がけるシュタットベルケは約900社もあり、ドイツの電力の50%を供給しています。
 ドイツは東日本大震災による原発事故を重く受け止め、原発をゼロにする政策を進めてきましたが、ロシアのウクライナ侵攻とエネルギー供給の停止や制限の影響を受け、原発の再活用を検討しているようです。一方で、シュッタットベルケが担う自然エネルギーの地産地消が地域のセーフティーネットとしてその役割がますます重要になっていくことでしょう。

ウクライナ侵攻による危機から原発の危険性を無視する国のエネルギー政策

 もちろん、エネルギー危機の影響は日本にも及び、国は福島原発事故の教訓も忘れ、原発の危険性を無視し、原発の再稼働どころか新設までも進めようとしています。
 国が先祖帰りをしようとしている今、人口減少と高齢化、農業の後継者不足と空き家の増加、気候危機と、切実な課題に直面する能勢町において、原子力や化石燃料にたよらず、再生可能な自然エネルギーの供給をすすめる事業は、持続可能なまちづくりとして、とても大切な試みなのだと思います。
 今回の企画は2050年に能勢町の人口が今の6割減、労働人口が8割減になり、経済の縮小と、気候危機の影響もあり能勢の自然資産の減少も避けられない厳しい予測の上に立ち、電気をはじめとする自然エネルギーの地産地消と地域循環によって災害にも強く、地域の雇用創出にもつながる事業の可能性について共に考えようというものでした。
 ワークショップの前に、一橋大学大学院経済学研究科の山下英俊准教授の短い講演があり、主に再生可能エネルギーの活用による経済効果について話されました。というのも、自然エネルギーは安定供給がむずかしいことに加えて、コストがかかるとされているからです。山下さんは太陽光パネルを設置されていて、ご自身の家を例にして、再生エネルギーが高かったのは過去の話だとグラフや表で説明されました。
 現在、能勢町ではエネルギー消費に年間8億円を費やし、そのお金を能勢町外に流出させています。地域に電気会社を持ち、運用することは地域にそのお金を還流し、さらに余った電力を町外に売ればお金が町内に入ってきます。地域での雇用創出も生まれ、地域活性化にも大きな貢献を果たすことになります。
 また原子力も化石燃料も持続可能ではなく、再生可能なエネルギーの導入と活用によって持続可能なエネルギーを地域で進めることの大切さを話してくださいました。
 その後のワークショップでは教育、農業、自然、まちづくりなどとのかかわりをテーマにした6つのテーブルに席を移し、それぞれ8人ほどに分かれて話をしました。
 わたしはその他もろもろというテーマのテーブルの席でしたが、農業をしている人、商工会議所の人、ご自身のお宅の屋根に早くから太陽光パネルを設置し、実践されてきた人、町行政の人が同席され、再生エネルギーを進めるためのアイデアや、50年後の能勢町の姿を想像しながら、意見を交わしました。

能勢町外に流出しているエネルギー消費8億円を地域の循環経済に生かす

 昨年、わたしの住む住宅地域の空き土地に太陽光発電の事業所がパネルを設置しました。国の法律もなく能勢町に条例もないため、設置すること自体は止めることができず、自治会と事業者の間で合意書を交わす方向で話し合い、今もまだ作成中です。
 再生可能なエネルギーとして先行する太陽光発電については、そのデメリットもまた少なくありません。自分の隣の敷地に太陽光パネルが設置されることで電磁波や照り返し、さらには自然災害時の事故、耐用年数を過ぎた後のパネルの処理の問題等が挙げられます。
 しかしながら、わたしは自然エネルギーのデメリットが、たとえ自分の住む地域より遠く離れていたとしても原子力発電の危険性を上回ることは絶対にないと思うのです。
 いただいた資料によると、能勢町には潜在的に域内電力需要の10倍になる499ギガワットアワーもの供給能力があり、電力を売って地域を活性化するのも夢ではないと報告されていますが、そこまでは難しいかも知れませんがエネルギーの自給自足は可能かもしれないと、ワークショップに参加して感じました。
 ただ、今のところ特に関心を持つ住民以外に、ほとんどこの事業のことが知られていないことが大きな問題です。広報や能勢町Webサイトで学習会を呼びかけても、身近なこととらえられていないと思います。もし、作成を計画していると伝え聞く条例で設置規制だけでなく、事業者ともエネルギーの地産地消の大切さを共有できればいいと思います。
 また、コロナ禍でひとが集まる催しができにくい状況ですが、能勢町など公共団体が主催する催しに出店したり、「でんき祭」を開いたり、広報に何度か紹介パンフレットを入れて、まちづくり会社から電気の供給を受けてもらう働きかけに力をいれてほしいと思います。
 また、すでに豊中高校能勢分校の取り組みがこの事業を推進していることは承知していますが、イベントの時や小中学校の授業などで、小さな太陽光パネルでひとつの電灯に明かりを灯したり、授業で使われているタブレットに充電するなど、子どもたちに「電気をつくる」体験を提供することで、電気事業が身近なものになるのではないでしょうか。もう一つ、住民参加の仕掛けにもなる住民債権の発行なども検討に値すると思います。

共に暮らし助け合い、子どもたちに豊かな未来を届けるための再生エネルギー創出事業

 再生エネルギーの創出や省エネルギーをすすめることは気候危機に対処するために住民や事業者に努力を強いる事業でもなければ、またその設置・運営のデメリットを避けるために規制する対象でもないとわたしは思います。
 能勢町行政にとっても事業者にとっても住民にとっても「わたしのまちのみんなのでんき」事業はとても心が躍る、魅力的な事業だと思います。住民参加の「でんきづくり」は手作りみそをつくるように、つくるひとの顔が想像できる住民参加の事業として、自然と共存する循環型の暮らしとともに住民同士においても地域間においても助け合い、分かち合う豊かな能勢の未来を子どもたちにプレゼントすることになると思うのです。

「エネルギーを変える。まちが変わる」 株式会社能勢・豊能まちづくり

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