おめでとう!島津亜矢紅白出場

島津亜矢が紅白歌合戦に出演することになりました。2001年の紅白で「感謝状~母へのメッセージ~」を歌って以来、14年ぶりの出場となります。
昨日、11月26日の朝、ファンサイトで知らせを知ったファンのひとたちが一斉に拡散させ、どこのサイトも大賑わいで、わたしのブログでも昨日500アクセス、今日も午前中で300アクセスを越えています。もっとも、わたしのブログは理屈が多くてがっかりされた方も数多くいらっしゃると思います。ごめんなさい。
ともあれ無条件に「亜矢ちゃん紅白出演おめでとう!」と言わせてもらいます。知らせを聞いてすぐにわたしの友人数人にメールを送ってしまいました。友人の間では「なかなか醒めない」島津亜矢へのはまり方に、大阪弁でいう「かなんな」と思われている節もあり、「またか」と思ったのでしょう、返信のないひともいます。

わたしは彼女ファンになってかれこれ6年になり、このブログを開いた2011年からは毎年この時期に「紅白に出演しない島津亜矢」の記事を書いてきました。2009年といえばたしか「いきものがかり」が紅白に出場した年でもあり、島津亜矢も紅白に出場するのを願っていました。あれから6年、島津亜矢の出演を願っては果たせず、実のところこの時期はとても憂鬱な気持ちになっていました。
といっても、わたしは特に紅白を楽しみにしていたわけではありませんし、実際長い間大みそかに家族みんなで紅白を観ることが恒例となってきた戦後の家族像がきらいで、まったく関心がなかった時期が長くありました。そんなわたしがまた紅白を観るようになったのは妻の母と同居する様になり、演歌・歌謡曲のテレビ番組を観るようになったからでした。
その中で島津亜矢の存在を知り、彼女のファンになっていったのですが、この時期の島津亜矢さんのファンの方々の憂鬱と怒りはわたしの比ではなく、ほとんどの熱烈なファンの方は「紅白なんか観ない」とNHKに抗議していたほどでした。
わたしは軟弱なのでその間もずっと紅白を観てきましたが、そのステージに島津亜矢がいたらという悔しい気持ちの一方で、毎年派手になっていく刹那的な場に島津亜矢の居場所はあるのかという思いもありました。というのも、自分勝手を承知で言えばわたしにとって島津亜矢は、たかだか3600席のNHKホールや何万人のホールや何十万人の野外会場に収まる存在ではなく、はるか遠くの海岸で彼女の歌を待ちつづけているはずの、愛を、歌を必要とするたったひとつの心に届けるべく振袖をひるがえし、一陣の風となって7つの海を疾走する「大衆芸能のジャンヌ・ダルク」のような存在で、すでに「国民的番組」ではなく音楽バラエティ番組となった紅白のステージとはミスマッチもはなはだしいと思うからです。
ですから、紅白出場が彼女の音楽的冒険とは無関係である以上、島津亜矢らしく彼女のライブパフォーマンスを充実させてくれるだけで充分で、それは紅白出場が決まった今も変わりありません。
しかしながら、島津亜矢自身が「紅白に出場できないのはわたしの努力不足で、応援してくださるファンの方々に申し訳ない」というメッセージを出すのがしのびなく、ますます「紅白に出場してもらいたい」というファンの悲痛なまでの願いと「出場させないNHK」への怒りが増幅してしまうのがここ何年かの現実だったと思います。

毎年、紅白出場できなかった人を「落選組」という無礼なマスコミ報道に腹立たしさを感じますが、今年も「なぜあの人が入ってあの人が落とされたのか」というネタ探しがネットやスポーツ紙を賑やかしています。また、いままで「後進に譲る」という理由とは別に「毎年選ばれるか不安でした」という本音を言ってくれるベテラン歌手もいました。
戦後の経済復興と高度経済成長のシンボルとも言えた国民的番組の時代には「連続出場」が歌手のステータスでしたが、年に一度の音楽番組と変質した紅白歌合戦ではそれぞれの音楽事務所とNHKのさまざまなやり取りとは別に、音楽番組としての番組の企画・構成から出演歌手を選ぶ部分がずいぶん増えてきたように思います。
それは「アイドル枠」をのぞいたポップスのジャンルで多く見られるもので、わたしは実はその枠から出演する歌手のステージを毎年楽しみにしています。この枠の場合は毎年出場するかどうかは本人にとっては大きな問題なのかも知れませんが、わたしにとってはそれよりも今年どんなグループやどんな歌が若い人たちに支持され、その中に気になる人たちがいるかどうか、いわばリサーチする感覚なのです。
それにひきかえ、演歌・歌謡曲のジャンルはかなり閉鎖的というか、おそらく事務所の営業なども毎年激しいのではないかと思うぐらい、紅白出場をステータスとする数少ない歌い手さんで占められていて、その意味からも30周年やNHKの歌謡コンサートでの「I Will Always Love You」の熱唱、それを絶賛した松山千春と「のど自慢」にゲスト出演するなど例年にまして活躍した実績はあるものの、事務所のアプローチが弱い(そこがまたわたしが島津亜矢チームを好きな理由でもありますが)島津亜矢の紅白出場は難しいと思っていました。
それだけに紅白出演はほんとうにうれしい事件でした。現在療養中の「亜矢姫倶楽部」のKMさんが昨年言われたように、「亜矢ちゃんも歌手ですから紅白に出たいと思うのはあたりまえ」だと思いますし、長い間支えてくれるファンの方々、スタッフのひとたちに勇気をあたえることなのですから…。
今回、目立ったものがないという芸能レポーターもいますが、初出場のSuperflyやBUMP OF CHICKENとともに、われらが島津亜矢のステージに期待か膨らむ一方です。そういえば「SINGER3」の当初のラインアップにSuperflyの「タマシイレボリューション」が入っていました。

わたしは今回の島津亜矢の紅白出場のかげには今年の話題性もさることながら、NHKの「歌謡コンサート」やBS新日本のうた」の制作チームが島津亜矢に寄せる全幅の信頼と評価があったのではないかと思います。
以前からたびたび書いてきましたが、BS放送では古くは中村美津子との共演で「瞼の母」、布施明との共演で「マイ・ウェイ」、鳥羽一郎との共演で「無法松の一生」、北島三郎との共演で「風雪ながれ旅」、そして歌謡コンサートでの「I Will Always Love You」などなど、これらの音楽番組の制作チームは島津亜矢の歌唱力に期待してさまざまなステージを企画し、島津亜矢もその期待以上のステージを作ってきました。
そして、NHKの次代をになう制作担当者の中に、ひそやかに島津亜矢を評価するひとたちが確実に増えてきているとわたしは確信します。それがあるからこそ先ほどの「マイ・ウェイ」も企画されたのだと思うのです。そして、彼女たち彼たちが次代の大衆音楽の方向を見さだめ、自分たちが次代の音楽シーンをつくりだす、いい意味での野心を持ち、その未来の設計図に島津亜矢の存在が欠かせないと考えていると確信します。
ですから、今回の島津亜矢の出場枠はポップスのジャンルと同じところにあり、「新しい音楽」への彼女たち彼たちのチャレンジの現れであると思うのです。そう考えて今年の出場歌手を見ると昨年と大幅に入れかわっていて、後で振り返ると今年の紅白が新しい時代への入り口であったのだと知ることになるのかもしれません。
そうだとするならば、島津亜矢の歌う歌は絶対に「感謝状~母へのメッセージ~」であってはならないと思います。まさかとは思いますがそうなりやすい傾向も紅白にはありますので何とも言えませんが、島津亜矢の音楽的冒険のほんの一部でも表現するのであれば、「感謝状」ではだめなのです。この歌の善し悪しではなく「苦節14年、返り咲いた懐メロ」になってしまうのです。
「独楽」が有力かもしれませんが、個人的にはこの歌だと真正演歌歌手という位置づけになってしまいますし、といってポップスファンをびっくりさせる洋楽にすると、それがかえって単なるバラエティと思われるかも知れず、それならばやはり「帰らんちゃよか」か、思い切ったカバーでは北島三郎の「風雪ながれ旅」をフルコーラスで歌えば、演歌ファンも、また島津亜矢を知らないポップスファンも度胆を抜かれるのではないでしょうか。

おめでとう!島津亜矢紅白出場” に対して12件のコメントがあります。

  1. kinokazu より:

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    tunehiko様

    的確な分析だと思います。
    ツイッターの中でも、「NHKが紅組の将来を亜矢さんに託したのではないか」という書き込みがありましたが、tunehikoさんの分析と一致していますね。
    とすれば、若者もびっくりの、あっと思うような選曲がいいと思います。
    「独楽」では弱いですね。トリで「風雪ながれ旅」なら面白い。
    思い切って「I Will Always Love You」ではダメですか。
    「一本刀土俵入り」も意表をついて、面白いと思いますが。

  2. tunehiko より:

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    kinokazu様
    いつもありがとうございます。
    バラエティの時は振袖で、本番はドレスで歌うといのも考えられますが、英語の歌はまずいかもしれませんね。だいいち、演歌ファの方が納得しないのではないでしょうか。
    「瞼の母」はとてもいいのですが、時節がら渡世人の歌はダメでしょうね。その点、「一本刀土俵入り」はいいかもしれませんね。
    継続して出演するにはまだNHKのコンセプトがはっきりしませんから、紅白出場の翌年、すなわち来年の彼女のマネージに一番いいようにしたらいいのでしょうね。そうなるとたとえば若い人が興味を持つポップスよりも、継続的にファンを獲得するにはやはり演歌の方がいいのでしょうね。

  3. S.N より:

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    tunehiko 様
    紅白出場が決まってよかったですね。
    これで、やっと今年こそ紅白を見ることができます。
    昨夜も今夜も、うれしくて一人で祝杯を挙げております。
    私は、島津亜矢さんが歌いたいと思われる歌なら
    どんな歌でもいいかなあって思っています。
    でもやっぱり、星野先生の曲がいいですかねぇ。

  4. tunehiko より:

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    PASS: 04e60c26645b9de1ec72db091b68ec29
    S.N様
    いつもありがとうございます。
    どの歌を歌うのかで、当分楽しめます。
    わたしはそれほど演歌にこだわりがないのですが、星野哲郎は好きな作詞家ですので、わたしも賛成です。

  5. 匿名 より:

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    びわ湖ホールの前から十五番目の席で島津亜矢を聞いてきた。声のよさ、歌のうまさは日本一だろう。だが彼女がどんな歌手になりたいのか、わからないまま今日にいたっているように感じる。一番良かったのは風雪流れ旅、きろろの未来。彼女の持ち歌にはとうちゃん、かあさんで、どこかさびしいものを感じる。大人の恋愛経験がないのかなあ。歌手は何を歌うかで、歴史に残っていくのではないか。感動がマイウエイでは
    一人前の歌手とはいえない。これからが大事なときだね。

  6. tunehiko より:

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    わたしもまた島津亜矢さんのこれからの10年に期待しています。
    「歌手は何を歌うかで、歴史に残っていくのではないか」、同感です。
    あなたが言われている「何か」はおそらく歌そのものというよりも、何を語り何を伝えようとしているのか、ということなのでしょう。
    ただ、わたしは歌手が実人生での経験を積むことで歌に背得力と深みが出るとされることに異存はないのですが、一方で歌は歌そのものに時代を映す力があると思っていて、その意味では彼女のジャンルを問わない歌の才能をどのようにして「新しい歌」への冒険へとつなぐのか、プロデュースの力が問われているのではないかと思います。
    たしかに男女の愛と別れとともに、演歌の常連のテーマとして家族や親子の歌が数多くつくられるのはある意味「期待される家族像や親子像」が崩壊してしまった現代だからなのでしょうね。

  7. いなさよ より:

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    島津亜矢さん、紅白出場おめでとう。歌唱力抜群なのに、大手事務所の力で、今年は私もNHKに抗議しました。独楽なんて最高です。私は突然ファンになりました。知り合いが
    カラオケ大会に、独楽出てるため、聞いてたら、後大器晩成も、大好き。派手なパホーマンスもせず、日々努力されてることが、歌に出てると、島津亜矢さんの生き方そのものだと、頑張れ亜矢ちゃん

  8. tunehiko より:

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    コメントありがとうございます。
    紅白をきっかけに広くたくさんのひとに彼女の存在が知られたらいいなと心より思います。
    さらには、出場をきっかけにNHKの紅白の番宣に出たり、
    共演する幅広いシンガー・ソングライターと出会ってくれたらいいなと願っています。

  9. dunno より:

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    『帰らんちゃよか』に決まりましたね。tunehikoさんの読みがぴたりとあたりました。いい曲だと思います。感動する方が多いと思います。個人的には、アルバム「悠悠」から島津亜矢さんのファンになったので、その中の曲が聴けたらうれしかったですが、もちろん『帰らんちゃよか』で何の不満もありません。あと10日になりました。本人でもないのに胸がどきどきしています。

  10. アキのいちご より:

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    私も彼女のファンの一人ですが、「帰らんちゃよか」多くの曲からズバリ当てましたね、凄いです、私もあの歌歌って欲しいと思っていましたから、今年は見ながら泣くでしょうね。

  11. tunehiko より:

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    dunno様。
    コメントありがとうございます。
    この記事を書いた後に「日本作詩大賞」に「独楽」が選ばれ、やっぱり紅白はこの歌で決まりと思っていました。
    姑息な考えですが、独楽の場合歌の長さが短く、フルコーラスで歌わせてもらえない場合、あっさりと終ってしまうので島亜矢さんを知らないファンにあまり印象を残せないかもしれないと思っていたのです。
    「帰らんちゃよか」は出自がフォークソングなので、「独楽」のように演歌の王道ではないところで、幅広い支持が得のではないでしょうか。

  12. tunehiko より:

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    アキのいちご様。コメントありがとうございます。
    「日本作詩大賞」を受賞した「独楽」になると思っていましたので、わたしも意外でした。
    「帰らんちゃよか」はカバーといえども彼女の大切な持ち歌のひとつとなっていますし、大晦日に離ればなれになっている家族を思いながら「紅白」を観るひとたちへのいとおしい応援歌として、心にしみわたるのではなないでししょうか。私も泣きます。

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