NHK「うたコン」と、TBSの人気番組「UTAGE!」に島津亜矢が出演

11月6日のNHK「うたコン」と、7日のTBSの人気番組「UTAGE!」と、島津亜矢が出演する音楽番組が2日連続放映されました。
6日はフィリピン出身のBeverlyとのコラボでMISIAの「Everything」を熱唱しました。
Beverlyはアメリカ、フィリピン等の音楽祭で数々の受賞歴を持ち、MISIA、AI、加藤ミリヤなどを手がけたプロデューサーが偶然耳にしたデモテープによって見出され、昨年に日本でのデビューを果たしたばかりですが、ハイトーンボイスを持つ世界レベルの実力派シンガーとして注目されています。
「うたコン」にはすでに何度か出演していて、ハイトーンボイスと図抜ずばぬけた歌唱力で「うたコン」の視聴者にも強烈な印象を与えました。
彼女はMISIAの「Everything」をカバーしていて、島津亜矢もまたアルバム「SINGER2」でMISIAの「逢いたくていま」を収録していますので、MISIAのバラードをソロで歌えるわけですが、そこをあえて2人のコラボにしたのはこの番組の編成チームの慧眼あってのことでしょう。というのも、島津亜矢のファンのひとりとしてソロで歌ってほしいという願いをはるかに凌いであまりあるパフォーマンスに、興奮を抑えられなかったからです。
2人が時には対話し、時には一緒に音楽的冒険を楽しむ様子はその時その場でしか得られない特別の高揚感にあふれていました。Beverlyがやや抑えめの声量で見事なハーモニーをつけるところでは、島津亜矢がその音のやわらかいシャワーを浴びながらシャウトし、Beverlyが蓄えた歌心でハイトーンボイスを爆発させると、島津亜矢はその高音にかぶさるようなやや太めの高音で応え、2人がそれぞれソロで歌うとオリジナルのようなシンプルなロックバラードになるはずのこの歌が、もう少し心がざわざわしたR&Bやソウルのように聴こえてくるのでした。
広い雪原に建つ教会で、雪は闇にまみれ彼方の光にこぼれおち、誰かを想い、想い続ける…。わたしはドラマの主題歌という役割をおろしたところから、この歌はより切なくより心を高めあう愛の歌として時代の数々の壁をすり抜けてきたのではないかと思います。
それにしても、島津亜矢の歌は演歌にもポップスにもブラックミュージックの河が流れているように思います。そのことを、もしかすると一緒に歌ったBeverlyが一番感じていたと思えてなりません。彼女もまた素晴らしいボーカリストであることは間違いなく、彼女にしてみれば島津亜矢とのコラボは彼女の歌手人生の中でもまったくのサプライズとして、記憶に残るのではないでしょうか。
そしてその化学反応を想像して「うたコん」のスタッフがこのコラボを企画演出したとわたしは思っています。「コラボ特集」といいながら、いずれも楽器演奏とダンスで、ボーカリスト2人のコラボがこの一曲だけだったことからも、特別の演出意図があったことがうかがえるのです。早くもその反響からネットではBeverlyの紅白出場の可能性がささやかかれていますが、わたしはむしろ島津亜矢の紅白出場を実現したいNHKスタッフの布石として小さな演歌枠での競合をさけ、ジャンルを越えたボーカリストとしての認知を図ったのかも知れないと我田引水の穿った見方をしています。
他のコラボでは天童よしみと小松亮太のバンドネオンが特筆ものでした。バンドネオンの一人者で、タンゴの胸をかきむしられそうな切なくも激しくその場の空気を一新させる小松亮太の演奏に駆り立てられ、少しの違和感と緊張感で天童よしみが歌った「乱れ髪」は、いつも十八番の歌唱ではない新鮮な楽曲になりました。こんな天童よしみを聴くと、わたしはまた竹中労が彼女にプレゼントしたデビュー曲の「風が吹く」を思い出します。この歌はその後の天童よしみの演歌歌手としての苦しいあゆみと現在の栄光を俯瞰し、原点を忘れないようにと優しくも厳しく見守った竹中労の心が込められた一曲でしたが、彼はかつて演歌が人生の淵をさまようひとびとの心に深く届いていたルネッサンスを天童よしみに託していたはずです。
それからずいぶん長い時をへて、ピアソラに代表されるタンゴの名手の小松亮太の演奏によっておかっぱ頭で全日本歌謡選手権に出場していた時の緊張感とみずみずしさがよみがえったようでした。

翌日の7日のTBSの特別番組「UTAGE!」は、実は10月10日の収録で、9日には「うたコン」の生出演、11日は新潟でのコンサートがあり、過密スケジュールでファンの間でも出演を願う一方で時間的にも体力的にもむりなのではと危ぶまれていました。
昨年の9月にこの番組で初登場し、ケミストリーの堂珍嘉邦と「美女と野獣」を歌って注目を浴びて以来、この番組の準レギュラーになった感がある中、スケジュールの都合で出演できないとなると、せっかくのブームの流れが途絶えるのではないかとわたしも心配でした。
彼女もまたこの番組への出演を強く望んでいたはずで、テレビ画面からも目が少しはれぼったく疲れているようではありましたが、水を得た魚のようにとても楽しそうで、なによりも他の出演者も彼女をポップスのボーカリストとして受け入れてくれていて、残念ながら演歌のジャンルではよく似た演出をしてもこんな風に無条件に認めあえることはなかったように思うのです。
とくに、島袋寛子やBENIなどの実力派のボーカリストが真剣に彼女の歌を聴く姿や、反対に彼女たちの歌唱を一つの音も聴き逃さない島津亜矢の貪欲な好奇心がうかがえて、多くの視聴者と同じく私にもとっても刺激的な番組となりました。振り返ればこの番組は今回で9回目となり、そのうち島津亜矢は最近の4回に出演していて、他の共演者との交流も深まっていると感じます。今回も島袋寛子のSPEED時代の大ヒット曲「White Love」を振り袖姿で歌い、ダンスまだ披露するというある意味とんでもない企画にも挑戦しました。他の共演者もこの番組でならありえない冒険もしてみたくなる、それが「UTAGE!」の最大の魅力なのです。
今回の放送でも4曲すべてをコラボで歌いましたが、島津亜矢はリードボーカルだけでなく、むしろコーラスやハーモニーなど他の共演者とのコラボになると断トツの歌唱力を発揮できる歌手だと思いました。演歌でのコラボでもいわば楽器で言えばベースのように、後ろで音楽をつくることができる才能を垣間見せていましたが、この番組ではその才能が開花され、彼女の音楽的な冒険の視野がずいぶん広がったと思います。
個々のコラボのことや、この番組のコンセプトについては次回以降に記事にしたいと思います。

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