伊奈かっぺいさん、伊藤君子さん、ありがとうございました。

昨日の「伊奈かっぺい&伊藤君子ライブ」は、ちょうど満席になり、立ち見のお客さんもなく、とてもいいライブになりました。
わたしはロビーの担当でしたので、ライブの模様をすべて観ていたわけではなく、特に1部の伊奈かっぺいさんのお話の時はまだロビーの仕事がありましたので、残念ながらまったく観ることができませんでした。
ただ、時々ホールをのぞくといつも笑いが絶えない感じで、その笑いもどこかゆったりしていて、わたしたちが気づかないでいたり忘れてしまった小さなできごとを思い出させ、ちょっとした生きる勇気をもらった気がしました。豊能障害者労働センターの記録のために撮影したDVDで、ゆっくりと見せてもらおうと思っています。
第2部の伊藤君子さんのライブは、すでにロビーの用事も終わっていましたので、ほぼ完全に見させてもらいました。
以前にも書いてきましたが、ジャズボーカルと言えばおしゃれなライブスポットやラウンジなどをイメージしてしまうのですが、伊藤君子さんのジャズには大地があり、都会の歌でもダウンタウンのほこりに赤く光る夕陽をあびた下町が見えてきます。
昨日のライブは津軽弁でも英語でも歌ってくれましたが、たしかに日本語で津軽弁ほどジャズにぴったりの言葉はないかもしれないなと思いました。津軽弁で歌うと、とてもかわいい声になり、その歌の語りは大勢のひとに語っているのではなく、ひとりのひとに語っているように聴こえるのです。そしてわたしたちは歌が生まれる瞬間、歌がひとりの心からもうひとりの心に伝わる瞬間に立ち会っているのだと気づくのでした。
童謡「赤とんぼ」や「涙そうそう」など日本の歌をお客さんも一緒に歌い、会場がひとつになり、普通のジャズのライブとはかなりちがうあたたかいライブになりました。田中信正さんのピアノ、坂井紅介さんのベースもとても素晴らしい演奏でした。
最後に伊奈かっぺいさんが登場し、かっぺいさんの曲「別離(へばだば)」を一緒に歌いました。

のめくてやぁ のめくてやぁ (夢中になって 夢中になって)
ただうぬうぬて のめくてやぁ (情熱集中 夢中になって)
ばしらいで ばしらいで (心騒ぎ 身が踊る)
たなこの際かげで ばしらいで (今この時だからと!)
なづぎばふつけだ ほぺたこねぱげだ (額に吐息を 頬と頬を寄せ)
きもちコちょしまし なしてやとちばれ (気持ちを翻弄する なぜ突然の終焉)
おらだてかちゃまし 泣きべちょはだげな (私も心情複雑 泣き顔見せるな)
あんつかあんつごと まみしぐしてろじゃ (少しばかりでなく心配 元気でいてほしい)
たげだばしげねば (ずいぶんと寂しくなるだろうか)
へばだばさ へばだばさ (別離だよ 別離だね)
へばだば へばだば (さようなら さようなら)

意味はさっぱりわかりませんでしたが、まるで6月の雨のようにぽつりぽつりと、わたしたちの心に伊奈かっぺいさんと伊藤君子さんの声がしみ込んでいきました。
ほんとうに素敵な歌でした。

そして、アンコールで歌われた「りんご追分」は圧巻でした。
伊藤君子さんは美空ひばりに憧れて歌手になり、最初は演歌でデビューされたそうです。わたしは以前、彼女のジャズには隠れこぶしがあると書きましたが、あながちまちがいではなかったと思いました。
ラジオから流れ、5才ぐらいだった伊藤君子さんの心に届いた「りんご追分」は、昨日のライブで歌われたジャズのスタンダード曲にひけをとらない世界の名曲のひとつです。
ジャズと出会い、海外のたくさんのプレイヤーと共演し、世界でもトップシンガーと評価されてきた伊藤君子さんの「りんご追分」は、今の演歌歌手のひとたちがどうしても美空ひばりに近づこうとするのとはちがい、この名曲もまた世界のさまざまな大地と海を渡って来て、子どもの頃にラジオから聴こえてきたあの「りんご追分」そのままに彼女の心に帰ってきたような、懐かしくも切ないジャズそのものでした。

ほんとうに、こんなライブを箕面で開くことができたことは大きな喜びとともに、わたしたちの誇りです。
伊奈かっぺいさん、伊藤君子さん、田中信正さん、坂井紅介さん、その場に立ち会ってくださった500人のお客さんをはじめ、このライブにご協力いただいたみなさんに感謝します。
そして、伊奈かっぺいさんと伊藤君子さんのライブを企画し、実現させた豊能障害者労働センターに敬意を表します。

豊能障害者労働センター30周年記念イベントは、昨年の松井しのぶさんのカレンダー原画展と、今年の「伊奈かっぺい&伊藤君子ライブ」で終了となりました。
わたしは2008年からふたたび豊能障害者労働センターの活動を手伝ってきました。そして、30周年記念イベント実行委員会に参加してからは、豊能障害者労働センターの事務所にもたびたび行かせてもらいました。
今回のイベントでは、いつも労働センターのスタッフを急かせてしまい、あまりにもでしゃばりすぎたことを反省しています。
豊能障害者労働センターを辞めてすでに9年がたち、今は若いスタッフがセンターの活動を支えています。今回のイベントでもみんながそれぞれの役割を果たしていて、たのもしい限りです。
わたしも7月3日の誕生日を迎えると65才になります。老いと折り合いをつけながら、残された時間をまだ見ぬ夢にかけるべく、次なる旅へと出発しなければと思いながら、今日も2時間ドラマの再放送ばかりをみてしまいました。反省。

伊奈かっぺいさん、伊藤君子さん、ありがとうございました。” に対して1件のコメントがあります。

  1. まとめtyaiました【伊奈かっぺいさん、伊藤君子さん、ありがとうございました。】

     昨日の「伊奈かっぺい&伊藤君子ライブ」は、ちょうど満席になり、立ち見のお客さんもなく、とてもいいライブになりました。 わたしはロビーの担当でしたので、ライブの模様をす...

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