能勢の桜

今年は寒い日が続いた影響か、桜の開花が遅かったようです。でも、そのおかげでいつもよりゆっくりした気持ちで桜を楽しみました。わたしは昨年の夏に能勢に引っ越しましたから、このあたりの桜を観るのを楽しみにしていました。
まず最初は、この間書きましたように前の家のすぐそばにある服部緑地の植物園に行き、2本のしだれ桜の満開を楽しみました。その後、1週間遅れで満開となった猪名川町の桜並木を楽しみました。能勢電の日生中央から延々と数百メートルにわたって桜並木が続く通称「桜街道」と呼ばれている所です。
行けども行けども桜、また桜でした。ほんとうは妻の母親が車いすに乗って楽しめるコースと思い、下見も兼ねて行ったのですが、ちょうど風邪をひいてしまい、結局は彼女に観てもらうことはできませんでした。
一本一本の桜の魅力というか、力強さはないものの、これだけ桜並木が続くとたしかに圧倒されます。関係者の方々が一生懸命支えて来られていることも感じられました。
この日は、もう1か所の桜スポットにも足を運びました。わたしたちの交通手段は1時間に一本のバスしかないのですが、阪急山下駅から173号線に出て、能勢へとつづく途中の「民田口」というバス停のすぐそばに川を挟んでキャンプ場があります。何本か桜の木があり、同じく満開になっていました。
日生中央から能勢まで1日に2、3便、阿古谷地区という素晴らしい田園風景を走るバスに乗り、国道173号線との分岐点でもある「民田口」で降り、そのキャンプ場で花見をしました。日生中央のスーパーで買い込んだ缶ビールを飲みながら、久しぶりに妻と二人、のんびりとした午後のひと時でした。
後は能勢の妙見山の桜を観たかったのですが、急用ができてしまい、今年はもう行けそうにありません。

けれども、能勢に来て最高の桜は山桜で、里山の中腹にポツポツト咲いている薄いピンクグレーの桜は、ほんとうに美しいと思います。一年の内の、街よりもおそい春の一瞬だけ、その存在をわたしたちに見せてくれる桜は、いままで観てきたどこか自己主張のはげしい派手な衣装を身につけていませんが、少し恥ずかしそうにピンク色に染まり、儚さを漂わせながら朝の光を浴びているのでした。
冬の衣装を脱ぎ棄て、春から夏へと緑がふくらむ少し前に咲く山桜は、実はまわりの木々よりうんと背伸びをしてやっとその姿をのぞかせているのですが、妻はあまり人が入らない里山に入り、鹿をびっくりさせながら踏み分け道を歩くと、それはきれいな桜が何本も咲いていて、とてもきれいだったと言います。
わたしといえばその中でも、特別きれいな桜を見つけました。その桜は近くのバス停のすぐそばを流れる川に寄り添うように咲いていて、仕事に行くわたしはいつもはげまされます。
桜を楽しむようになるとは、若い時には想像できませんでした。咲き急ぎ、散り急ぐ桜は刹那的で儚くて、どちらかと言うと好きではなかったように思います。
いつのまにか、そんな桜がいとおしく思うようになった時、わたしももう若くはなく、大人になっていたのかもしれません。

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  1. まとめtyaiました【能勢の桜】

     今年は寒い日が続いた影響か、桜の開花が遅かったようです。でも、そのおかげでいつもよりゆっくりした気持ちで桜を楽しみました。わたしは昨年の夏に能勢に引っ越しましたから、...

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